フランス映画

2022年、なんでスパークスが急に注目を浴びているのか?

レオス・カラックス『アネット』、 エドガー・ライト『スパークス・ブラザーズ』 現在のスパークスのお二人。左が兄のロン、右が弟のラッセルのメイルズ兄弟です。この2人を不動のメンバーとするのがスパークスです。 スパークスというロックバンド、という…

ようやく日本でも全国公開となりました!

ロベール・ブレッソン『湖のランスロ』 いきなりこんな殺伐とした映像の連続で始まります! 12世紀後半の詩人、クレティアン・ド・トロワによる『ランスロまたは荷車の騎士』という中世の物語詩を主な原作とする、孤高の映画監督、ロベール・ブレッソンの197…

アメリカの伝説的人物のエピソード1をアニメ化!

レミ・シャイエ『カラミテイ』 コレは驚きました! とにかく、何の予備知識もなしに映画館に行くことをオススメしたい。 なので、見たい人はコレは見てから読んでくださいね。 いいですかな? では、続けます。 フランスとデンマークの合作映画の西部劇しか…

まさかのエリントン映画でした!

ミシェル・ゴンドリー『うたかたの日々』 ボリス・ヴィアンの同名小説を、天才PV監督が忠実に映画化。という説明で実はすべてが完結している映画だと思います(笑)。 それでは味も蓋もないので、もう少し説明いたしますが、ビョークが世界的な大スターにな…

2019年の映画ベスト!

特に順位はありませんが、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』と『JOKER』が特に凄かったですね。最近見たというのもありますが。 前者は今後、ますます評価が上がっていくでしょう。単なるシーン追加ではなく、全く別の作品であり、同じシーンやセリ…

音楽使い方がヌーヴェル・ヴァーグとはまるで違う!

パヴェウ・パヴリコフスキ『COLD WAR あの歌、二つの心』 ズーラとヴィクトル。 映像を見て驚きましたね。 まるで、1960年代のポーランド映画みたいで。 ロマン・ポランスキとか、アンジェイ・ワイダの若い頃の作品を思い出しました。 絵作りは明らかに意識…

ブニュエルは最後までブニュエルであった(笑)。

ルイス・ブニュエル『欲望のあいまいな対象』 フェルナンド・レイの語る、奇妙なお話し。 最後のシュルレアリストにして、うなぎのような反骨精神を貫いたブニュエルの遺作。 と言っても別にそんなに重く受け止める必要はなく、シルベルマン/カリエールと組…

この作品でゴダールは作風を確立しました。

ジャン=リュック・ゴダール『気狂いピエロ』 この斬新なデザインは後世に計り知れない影響を与えましたね。 https://youtu.be/ZXiFjS9uLTQ 2019年に89歳となるにもかかわらず、未だに作品を発表し続ける孤高の天才ゴダールの、1960年代の最高傑作(というこ…

ゴダール初期の怪作!

ジャン=リュック・ゴダール『女は女である』 すんごい(笑)。 こんなに音楽というものが出鱈目に貼り付けられている映画というものがあるのだろうか。 私はゴダールの作品を20本も見てないと思いますが、こんな素朴な疑問がムツカシそうなゴダールを批評し…

山中貞雄と並ぶ夭折が惜しまれる監督の傑作にして遺作!

ジャン・ヴィゴ『アタラント号』 奇しくも山中貞雄と同じ年齢で亡くなっている、ジャン・ヴィゴ。 長編映画をたったの1本だけ遺して、わずか29 歳の若さで亡くなったジャン・ヴィゴの傑作。 2017年に娘のリュス・ヴィゴらの協力によって4K修復が行われ、そ…

フランスの脱獄モノ、犯罪モノには傑作多し!

フランクリン・J・シャフナー『パピヨン』 かつて仏領ギネアは、フランス本国には囚人を送り込む、事実上の流刑地でした。 金庫破りと殺人(殺人は冤罪です)で終身刑となったパピヨン(スティーヴ・マクイーン)と贋国債作りで逮捕されたルイ・ドガ(ダステ…

300回目は、戦争の狂気と祝祭を描く痛快作です!

フィリップ・ド・ブロカ『まぼろしの市街戦』 1966年に発表された、フランス映画史に残る怪作/快作。 なんという美しいくカラー撮影、美術! そして、ラストシーンのとてつもないアイロニーと反骨精神。 お話しは、第一次世界大戦中末期の西部戦線。 イギリ…

ラストシーンに思わず「あっ」と軽く声が出てしまいました。。

アンリ・コルピ『かくも長き不在』 やっと見ることができました。 VHSもないし、DVDにもならないし、映画館で上映しないの三重苦作品のトップと言ってよい作品がとうとうDVDになった事に快哉を。 7月14日のパリ祭(このような言い方は日本だけです。ルネ・ク…

ジャンル分け困難な変態映画です。

ポール・バーホーベン『ELLE』 現在はヨーロッパを拠点として映画を撮っているバーホーヴェン監督の新作ですが、はじめの30分くらいは、一体どういう映画なのかよくわかりません。 主人公でゲーム会社の社長をしているイザベル・ユペールが一体どういう人間…

今ほどアフリカ音楽が必要な時代はないかもしれない。

アラン・ゴミス『私は幸福』 ※公開したばかりですので、絵はございません! 幸福。は、フランス語でフェリシテと言いますが、主人公の名前がフェリシテと言いまして、ダブルミーニングになってるんですね。 日本語でいうと「幸子のシアワセ」的なタイトルで…

前半はルノワール、後半はベッケル

ジャック・ベッケル『肉体の冠』 ジャンヌ・モローの先駆的な存在ですね。神取忍に似ている気がします。 妙なタイトルですが、原題は「黄金の兜」でして、主演のシモーヌ・シニョレの髪型をタイトルにしてるんですね。 ファム・ファタールをめぐってのお話し…

モーレツな生命力溢れる傑作。

エミール・クストリツァ『黒猫・白猫』 こういう、ひどいのにユーモラス。という表現がホントにうまい監督です。 相変わらず、冒頭から猥雑で騒がしい作風は一貫していて、画面を覆い尽くしている生命力がものすごいですね。 何度も唐突に挿入される、車を食…

まさに新古典主義。

ダニエル・シュミット『ヘカテ』 なんともアナクロな、1930年代の雰囲気を持った映画です。1942年、すなわち、第二次世界大戦中のスイスのベルンに始まり、そして、終わる、1980年代には誰もやっていないようなメロドラマです。 お話は、主人公の回想です。 …

105歳の監督が問う、ホントに根性があるということ。

マノエル・ド・オリヴェイラ『家族の灯り』 1908年生まれ。と言うことは、朝比奈隆とかヘルベルト・フォン・カラヤン、レスター・ヤングと同い年という事です! 気が遠くなる。。 登場人物が少ない映画は、別に珍しくはないですけども、こんな狭い部屋だけで…

ブレードランナーの元ネタ?

ジャン=リュック・ゴダール『アルファビル』 この後に発表される初期ゴダール最終作と言ってよい大傑作『気狂いピエロ』(ずっと私、「きぐるい」と読みまつがっていました・笑)の前に発表された作品ということもあり、あんまり言及されない作品ですが、こ…