2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

荘厳な民衆賛歌

パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ『サン・ロレンツォの夜』 この少女が見た戦争の回想です。 イタリアへの連合軍の上陸、すなわち、第二次大戦の末期のムッソリーニ政権の断末魔時代を扱った名作は結構多いです。 パゾリーニの遺作『ソドムの市』は、サド…

現在のスタイルを確立する前夜。

ホン・サンス『ハハハ』 カナダに移住する映画監督チョ・ムンギョンとその先輩チュンシク(軽くうつ病で大学教授です)が、韓国の郊外にある、清渓山(チョンゲサン)で別れの宴会を開きながら、それぞれが徒然となく回想するという、ホン・サンスとしてはち…

ホントの事を言うためにウソをつく。

ウディ・アレン『カメレオンマン』 ちょっとヒネリ過ぎた邦題が微妙ですが、ウディ・アレンの悪意のエンターテイナーぶりが十全に発揮された、個人的にはウディのベスト3に間違いなく入る、大傑作。 TSUTAYAでは置いてたり置いてなかったりしますが、なんて…

ホンモノのデカダンスです!

ルキーノ・ヴィスコンティ『ヴェニスに死す』 高校から大学にかけて一番好きだった映画監督は、ヴィスコンティでした(笑)。 グスタフ・マーラーが好きだったこともあり、もう、飛びつきましたよ、レンタルビデオに(笑)! もう、何度も何度も見ましたなあ…

ロメールが『あまちゃん』を描いたら、こうなります。違うか。

エリック・ロメール 『海辺のポーリーヌ』 実は、ロメール、見た事がなくて(笑)。 ポーリーヌは、従姉のマリオンと一緒にモン・サン=ミシェル近くの避暑地の別荘で夏を過ごすことになりました。 お年頃のポーリーヌ。やっぱり男の子の事を考えがちです。 …

市川崑の隠れ傑作!

市川崑『ぼんち』 大阪の船場で5代続いた足袋問屋の没落した主の回想。というスタイルを取る、山崎豊子原作の小説の映画化。 船場の文化の絢爛さは、谷崎潤一郎『細雪』にふんだんに書いてますが、もう、あの世界はスッカリ失われてしまいました。 後年、『…

反復と差異

ホン・サンス『教授とわたし、そして映画』 またしても映画学科でのお話し。 同じ映画学科が舞台なのに、主役が変わったり、配役が微妙に違ったりしてしまいます。 映画監督のジング、ソン教授、オッキそれぞれの視点で映画は進み、映画は、 「呪文を唱える…

早すぎた作品

清水宏『有りがたうさん』 静岡209ということは、それくらいしか県で走っている車がないんですね。 戦前、とりわけ1920年代にとてつもないペースで映画を撮っていた清水宏の代表作。 上原謙(若大将のお父さんです。若い方はご存じないでしょうね)が山道の…