2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

アラン・レネ的手法で描かれた「自由」

吉田喜重『エロス+虐殺』大杉栄と伊藤野枝の伝記を、非常にユニークな手法で撮った大作。大杉栄が実践していた、あらゆる所有権の放棄(それは婚姻にも及び、大杉は一夫一婦制を否定していた。なので、正妻1、愛人2がいるという状態であった)が招いた殺人…

博士の異常な愛情+太陽を盗んだ男

山川元『東京原発』2004年公開。タイトル通り、東京に原発を作ろう。という内容なのだが、こんな映画が我が国が作ってました。あの事故の前に。相当な低予算映画ですが、であるがゆえにそれを逆手にとった作りです。小泉元首相をモデルにしたと思われる、役…

今見るとちょっと古めかしいかな?

浦山桐郎『キューポラのある街』脚本に今村昌平、音楽が黛敏郎。そして、主演が吉永小百合様(東野英治郎の娘というのは、納得できんが)。私は、清く、正しく、美しい映画がニガテでございまして(『二十四の瞳』とか『ビルマの竪琴』ですね)、なかなかこ…

今こそ必見!

森崎東『生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言』驚きました。この映画のテーマが2015年に思い切りスパークしてるんですよ。タイトルからは全く想像できませんが、この映画の通奏低音は、沖縄のコザ暴動と福井県の美浜原発の問題なんですよ。そし…

新作待ってますよ!

長谷川和彦『青春の殺人者』あまりにも鮮烈なデビュー作。ギリシャ悲劇におなじみのテーマをこんな形で表現するなんて。主演の水谷豊、原田美枝子の素晴らしいは言うまでもないが、市原悦子の艶かしさが異様なまでに印象に残る。青春の暴走ものは、古今東西…

これは岡本喜八の隠れ傑作!

岡本喜八『殺人狂時代』チャップリンの同タイトルの映画がありますが、全く関係ありません。もともとは、日活の企画だったらしいです。元ナチスが出てきたりと、いい加減な設定が、宍戸錠主演のアクション映画っぽい感じですが(これ、もしかして、鈴木清順…

黒沢年男のマッドな熱演!

岡本喜八『日本でいちばん長い日』1967年公開です。ということは、出演している人たちのほとんどが、戦争経験者であるというこのすごみ、重み。しかも、昭和天皇や重臣たちの家族は健在であるわけで、時代的な緊迫感がハンパではございません。この映画、タ…

最近の伝記モノはハズレがない

ビル・ポーラッド『ラヴ&マーシー』ビーチ・ボイズ。というよりも、ブライアン・ウィルスンの伝記映画というべき映画でありまして、そうなると、ヒット曲量産時代のビーチ・ボイズはほとんどナシであります。若い頃のブライアン(精神を壊してしまうまで)…

前半がよかった!

トラン・アン・ユン『青いパパイヤの香り』DVDになっているのに気づかず、見てなかったのでした。この映画、前半、すなわち、主人公の女の子が10歳の頃がよかったです。少しずつ零落していってるお金持ちの家に奉公人に出されているムイから見た斜陽族の姿を…