2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

永遠の映画少年の遺作にしてまたしても問題作!

大林宣彦『海辺の映画館キネマの宝箱』 いやもう、圧倒されました。 大林宣彦は長編デビュー作『HOUSE』から常に問題作を作り続けていたんですけども、遺作までもが問題作とは! およそ、その穏やかなタイトルからは微塵も読み取れないような、躁病的な実験…

ボン・ジュノは最初からボン・ジュノだった!

奉俊昊(ボン・ジュノ)『ほえる犬は噛まない』 『グエムル』でも活躍するぺ・ドゥナ。 奉監督の長編デビュー作であり、彼の作品は見たものはすべて好きなのですが、私はコレが一番愉快で好きですね(笑)。 韓国のとある団地で起こる珍事件を描いた、一体ど…

猟奇的な事件をある種のユーモアを交えて描く傑作!

奉俊昊(ボン・ジュノ)『殺人の追憶』 1980年代から90年代にかけて、実際に起こった連続殺人を元に作られた衝撃作。 シリアルキラーものそれ自体は、アメリカなどで既に多く作られてきたので、それ自体は目新しさはないのですが、その描き方がとても新鮮で…

変化とは単線的には起こらない。

ジャ・ジャンクー(賈樟柯)『長江哀歌』 自らの故郷である、山西省(黄河中流域)を描くことの多い賈監督が、タイトル通りに長江の、しかも、なかなか中国では取り上げにくい題材と思われる、三峡ダムの建設によって水没していく事運命の町を舞台とした傑作…