韓国映画

本作をもって巨匠と呼ぶにふさわしい監督になったのではないか。

奉俊昊(ボン・ジュノ)『パラサイト』 アカデミー賞受賞式のボン監督。 カンヌでパルムドール、アカデミーで作品賞を取ってしまった作品。 しかも、アジアでの作品でアカデミーで作品賞を取ったのは史上初。 アカデミー賞というのはグラミー賞と同じで、ア…

ボン・ジュノは最初からボン・ジュノだった!

奉俊昊(ボン・ジュノ)『ほえる犬は噛まない』 『グエムル』でも活躍するぺ・ドゥナ。 奉監督の長編デビュー作であり、彼の作品は見たものはすべて好きなのですが、私はコレが一番愉快で好きですね(笑)。 韓国のとある団地で起こる珍事件を描いた、一体ど…

猟奇的な事件をある種のユーモアを交えて描く傑作!

奉俊昊(ボン・ジュノ)『殺人の追憶』 1980年代から90年代にかけて、実際に起こった連続殺人を元に作られた衝撃作。 シリアルキラーものそれ自体は、アメリカなどで既に多く作られてきたので、それ自体は目新しさはないのですが、その描き方がとても新鮮で…

3つの世代を通じて描かれる、韓国現代史!

キム・ボラ『はちどり』 長編第1作との事ですが、普通、処女作というのは、やったるぞ感となんでも盛り込みすぎ気味をどんな監督でもやってしまうものですが、この風格と余裕と完成度には相当度肝を抜かれましたね。 キム・ボラ監督。 1994年の夏から秋にか…

コレはニーチェの運命愛の映画である!

イ・チャンドン(李滄東)『ペパーミント・キャンディ』 もはや、現代を代表する巨匠の一人である、イ・チャンドン。 イ・チャンドンはそんなに多くの映画を撮っている人ではないのですが(脚本家であり、小説家でもあるので、そちらの仕事がむしろ多いです…

喜劇的としか言いようのない悲劇!

奉俊昊(ボン・ジュノ)『母なる証明』 ポン・ジュノが『グエムル』の次に放ったのは、なんと、知的障害を持つ冤罪事件でした。 キム・ヘジャ演じる母親の熱演が見事でした! コレが熊井啓なら、超がつくシリアスに、野村芳太郎だったら、後味がものすごく悪…

単なるモンスター映画どころか韓国映画を代表する傑作!

奉俊昊(ボン・ジュノ)『グエムル』 『パラサイト』によって、アジア人で初めて、アカデミー作品賞、脚本賞という主要部門を受賞しただけでなく、カンヌ映画祭でパルム・ドールまでも受賞してしまったポン・ジュノですが、彼の名が、世界規模となったのは、…

フォークナー→村上春樹→イ・チャンドン

李滄東(イ・チャンドン)『バーニング』 イ・チャンドンの8年ぶりの新作。 原作は村上春樹の短編『納屋を焼く』で、コレを韓国に置き換えて、坡州(バジュ)を舞台にしたお話となってます。 もともと、NHKが村上春樹の短編をドラマ化するというプロジェク…

今村昌平が蘇ってきたような濃厚なドラマでした!

イ・チャンドン『oasis』 2002年の作品で、『シークレット・サンシャイン』の前作です。 この監督は一作ごとの入魂の度合いがハンパではなく、それが寡作にならざるを得ない最大の原因ですが、本作の入魂度は、1960年代の今村昌平に匹敵する凄さがあります。…

ベルイマン的な抉りのすごい映画を久しぶりに見ました!

イ・チャンドン(李滄東)『シークレット・サンシャイン』 寡作な監督なので、実は全く知らない監督でした。 新作の『バーニング』(なんと、原作は村上春樹の中編です)の前々作で、2007年公開です。 イ監督は、脚本家、小説家、プロデューサーでもあるので…

カンヌ→カン(笑)

ホン・サンス『それから』 またしても不倫モノなのですが、1日の出来事で主人公のキム・ミニの立場が二転三転するという、ホン・サンス作品の中でも、なかなか劇的な作品。 夫の浮気を見抜く奥さん。 珍しく、かなりヨリの絵が出てくるのも驚きました。 こ…

カンヌン→カンヌ(笑)

ホン・サンス『クレアのカメラ』 ヤラレタ(笑)! もう、すごいですわ。 上映時間たったの70分。撮影も実際にカンヌ映画祭にキム・ミニとイザベル・ユペールが、それぞれの主演作(『お嬢さん』と『ELLE』というどっちも相当エグい作品ですが・笑)でカンヌ…

ハンブルグ→カンヌン

ホン・サンス『夜の浜辺でひとり』 2017年にホン・サンスはキム・ミニ主演で3本も映画をとりましたが、本作はその1つです。 映画は「1」「2」にハッキリとわかれてまして、ハンブルク編とカンヌン(江陵)編になってます。 近年のホン・サンス作品のよう…

ホン・サンスにとっての原節子か?

ホン・サンス『正しい日 間違えた日』 ホン・サンスの2015年の作品が2018年にようやく一般公開されました。 と、思ったら、新作までまとめて4作が一挙に公開という(笑)。 主演のキム・ミニを気に入ったホン・サンスが、立て続けに4本も映画を撮ってしまい…

ビックリした!こんなすごいキャメラ、見たことないですよ!!

チョン・ビョンギル『悪女』 いきなりこんな映画です(笑)! 私はほとんどゲームはやらないんですが、『バイオハザード』という作品がありますよね? 本作は、あの目線でずっとノーカット(実際は巧みにつないでいるかもしれませんが、見た目はずっと一つの…

奇想天外な恋愛映画でありました。

パク・チャヌク(朴贊郁)『渇き』 奇跡の人となってしまったサンヒョン。 奇跡を起こしてくれ!と駆け寄る人々。 次回作が全く読めない人ですけども、今回の主人公は神父です。しかも、生存率が低く、治療法のないウイルス性の病気から生還し(50人志願した…

『監獄のお姫様』の元ネタと思われる、エクセントリックな復讐劇!

パク・チャヌク(朴贊郁)『親切なクムジャさん』 『チャングムの誓い』とは全く違う役を見事に演じる、イ・ヨンエ。 「復習3部作」の第3作目。 日本では、『チャングムの誓い』でおなじみのイ・ヨンエが、ガラッとイメージを変えております。 何しろ、冒頭…

いやー、コレは盲点突かれました。

チャン・ゴンジェ『ひと夏のファンタジア』 キタノ映画っぽいといか、Production I.G.というか。 監督は韓国人ですが、日本から一部資金が出ていて舞台も奈良県五條市のためか、日本映画として分類されているようです。 映画は2部構成になっていて、キム・…

とうとう日帝時代も単なる設定になる日がきました。

チェ・ドンフン『暗殺』 暗殺指令を受ける3人。 前作『10人の泥棒たち』に続き、チョン・ジヒョン(全智賢)を主演とする作品で、キャストも前作とかなりかぶりますね。 今回はタイトル通り、暗殺者たちの映画です。 舞台は、1930年代の日本の植民地下にあ…

ハリウッドを凌いでいるのではないか。

チェ・ドンフン『10人の泥棒たち』 韓国、中国のスターが勢ぞろい! 『オーシャン11 』の焼き直しなのかな?などと思ったアナタ! コレはもうオドロキの映画なのでございます。 ツタヤが「コレは絶対に面白いです!」と激推ししていたのは、間違いなかったど…

韓国映画の水準の高さを証明する傑作!

キム・ホンソン『技術者たち』 キム・ウビン演じる金庫破りがとにかく見事! ジョン・ヒューストン『マルタの鷹』のように、体脂肪率が10%を楽々と切った、良質なタンパク質だけで見せてしまう映画はそうないですが(増村保造くらいでしょうね)、それがなん…