カンヌ→カン(笑)
ホン・サンス『それから』
またしても不倫モノなのですが、1日の出来事で主人公のキム・ミニの立場が二転三転するという、ホン・サンス作品の中でも、なかなか劇的な作品。
夫の浮気を見抜く奥さん。
珍しく、かなりヨリの絵が出てくるのも驚きました。
こんなに寄ります。
愛人チャンスクと社長。手前に本を積んで、珍しく奥行きを強調する構図。
ホン・サンスは基本、ヒキの絵をキャメラ一台で、ワンシーンが長いんですけども、初めから結構寄ったままの絵が何度か出てきて、まあ、要するに、いつもの作品よりも、比較的オーソドックスにできているという事なんですけども、いつもいろいろ仕掛けを講じてくるので、普通である事になかなか気がつけないという(笑)。
とはいえ、アレッと一年近く時間経過してしまったりするので、やっぱり油断なりません。
そして、どっかで見たことのあるような反復が。
それからどうなるの?というところでスッと終わらせるのは、相変わらずホン・サンス演出が冴えわたってますね。
主人公のキム・ミニが小説家志望で、出版社の社長で文芸批評家でもある浮気性の男がメインなので、結構、ロメール的なインテリな会話が出てきますけども、ロメールに似てると言われている割には、実は、そういう会話がそんなにでてこない事に見てて気がつきましたね。
アルムの初出勤のはずだったが。。
ホン監督の何かを飲んだり食ったりしている時の会話は、ほとんど日常のたわいのない事ばかり話してるんですよね、よく考えると。
タイトルがなぜ「それから」なのかは、見てのお楽しみに。
社長役のクォン・ヘリョは、『夜の浜辺で1人』でカンヌンの映画館に勤務する先輩役で出演してます。