エリック・ロメール 『海辺のポーリーヌ』
実は、ロメール、見た事がなくて(笑)。
ポーリーヌは、従姉のマリオンと一緒にモン・サン=ミシェル近くの避暑地の別荘で夏を過ごすことになりました。
お年頃のポーリーヌ。やっぱり男の子の事を考えがちです。
そんな彼女の事を年上の人たちは、からかいたくなるもんです。
顔が赤くなったり、ふくれたりするのを見るのは楽しいもんですからね。
ロメールは、そういう機微を描くのが実に巧みな人ですね。
ホン・サンスが影響受けたというのは、見ていてわかります。
お話しは、ポーリーヌ、マリオン、アンリ、ピエール、そして、シルヴァンの五人を中心に進んでいきます。
左から、ピエール、ポーリーヌ、マリオン、アンリ。
ウインドサーフィンをしたり、踊ったり。
そうこうしているうちに、ポーリーヌに関心のある男の子が。
こうしてストーリーだけ説明すると、ロメールの作品というのは、何が面白いんだかわからないんですが、彼の面白さは、そうした、なんということのない日常を実に丁寧に描く事に真骨頂があるのですね。
民族学を大学で学んでいて、教養もありそうなアンリに嫉妬するピエール。
そういう事を、ケンカとか罵り合いとかで見せず、ほとんど会話で展開させるんですね、ロメールという人は。
とことん、男と女の恋愛をそうやって見せるのです。
それにしても、全編にわたってセリフの応酬ですね。
よくしゃべるんだ、コレが(笑)。
とはいえ、『バージニア・ウルフなんてこわくない』みたいなヒステックなものではなく、どこまでもエレガントに見せるのがロメールの流儀ですね。
直情径行のピエールはエロオジンのアンリが許せないのだ。
とことん洗練されたセリフ劇です。
こういう所は、ものすごく影響受け出るわけですよ、ホン・サンスは。
彼の映画では、結構、登場人物がケンカ腰でしゃべりますけども、韓国のお国柄もあるのでしょう。
とにかく、とても複雑な男女の人間関係をとても品よく描いた名編だと思います。
こんなに若いのにものすごく演技がしっかりしてるのが驚きですね。