ホン・サンスにとっての原節子か?

ホン・サンス正しい日 間違えた日

 


ホン・サンスの2015年の作品が2018年にようやく一般公開されました。


と、思ったら、新作までまとめて4作が一挙に公開という(笑)。


主演のキム・ミニを気に入ったホン・サンスが、立て続けに4本も映画を撮ってしまい(まあ、彼の映画は撮影に時間がかからなそうなのでできるんでしょうね)、日本ではなぜかそれが一挙に公開される形となりました。


ホン・サンスお得意の、同じ話を2回繰り返し、それが前半と後半では微妙に違う。というお話で、微妙な違いなんで助けも、ラストシーンが全然違ってしまい、全く違う作品になってしまうというのが、やはりすごいですね。

 

f:id:mclean_chance:20180918235421j:image

映画監督と元モデルの偶然の出会いを2パターン描く。


時間のつながりが意図的におかしかったりするような、過激な手法は今回は使わないんですけど、大筋(映画監督が仕事で訪れた街で出会った女性との交流という、ある意味、毎度毎度の展開ですね)が大体同じなのに、オチか違う。というのは、やっぱり驚きますね。

 

f:id:mclean_chance:20180918235650j:image

茶店、アトリエ、寿司屋、先輩のカフェと同じ反復をしているのに、微妙に2つの話しは違います。


音楽はますます適当に(もう、小津を超えていると思います・笑)、カメラワークも恐ろしくシンプルで、編集のタイミングが考えてるのかいないのか全くわからない感じが相変わらずすごいですねえ。


タイトルロール/エンドロールも、恐らくは監督自身の、ボールペンか何かの手書きみたいなモンですし(笑)。

 

f:id:mclean_chance:20180919000105j:image

 

f:id:mclean_chance:20180919000006j:image

アトリエのシーンは見せようとしているのに事がアングルからして全く違うシーンです。


何もしてなさそうで、演技に関してはかなり緻密にやっているのが、前半と後半を見るととてもよくわかります。

 

f:id:mclean_chance:20180919000041j:image

監督の酔っ払い方が、1と2ではかなり異なります。


「今は正しく、その時は間違い」というタイトルをそのまんま邦題にしたほうがよかった気がしまたけど、反復と差異をこれだけミニマムにやって映画ができてしまうという、もうそれ自体が驚きの作品でした。

 

f:id:mclean_chance:20180919000621j:image