2016-01-01から1年間の記事一覧

逃避行映画の原点!

ニコラス・レイ『夜の人々』 ニコラス・レイ衝撃の初監督作品。 一般的には、『理由なき反抗』や『大砂塵』で知られてますけども、彼の真骨頂はそれ以前の作品にあります。 ですので、日本では彼の真価がなかなか伝わらず、一部の映画ファンの間にしか評価さ…

私がスパルタクスだ!

スタンリー・キューブリック『スパルタカス』 鉱山で剣闘士として買われるスパルタクス。 タイトルの通り、ローマ共和政末期に起こった、スパルタカスの反乱の顛末を描いた3時間を超える大作。 コレでキューブリックの世界的な名声が確立したんですが、キュ…

見事な2時間でした。

ジョージュ・ミラー『MADMAX 怒りのデスロード』 素晴らしいクルマのデザイン! ブルーレイにて再見。トレーラーが砦から逃げ出し、そして、結局、その砦に戻っていく。 マックス以外の主要キャラ。 ただ、それだけの事しか描いていないんですが、この間に、…

耳なし芳一だけでも必見!

小林正樹『怪談』 オープニングがものすごくカッコいい! これまた、美術戸田重昌、音楽武満徹と組んだ、3時間を超える大作。 音楽というのか、音響効果がすごいです。 立身出世のために棄てられた女性。 今聴いても驚きますね。 日本における「音響派」と呼…

人生は祭りだ。

フェデリコ・フェリーニ『81/2』 もう一体どんだけの回数見たかわからないくらいに見ましたね。 多分、今まで見た映画の中で最も好きなのが、コレかもしれません。 劇場のフィルム上映で見たもので1番よかったのは、『2001年宇宙の旅』で、もう、コレは絶対…

エロを生涯にわたって追求した人ですね。

エリック・ロメール『クレールの膝』 1番最初の連作「六つの教訓話」の第5作目。 それにしても、ロメールはぜんぜん作風が変わらないですね。 本作は若い頃の作品ですが、ホントに変わらないです。 とにかく、男と女のおしゃべり、おしゃべり、おしゃべり。 …

邦題が素晴らしいよね。

ジョーセフ・ロウジー 『唇からナイフ』 とても引き締まった映画を撮るロウジーが、こんな鈴木清順の日活時代みたいな映画を撮っていたのは、まことに驚きです。 最近独立したマサラ国は産油国ですが、政情が不安定です。 イギリス政府は、マサラ国からの石…

うまい!

エリック・ロメール『冬物語』 四季を描いた四部作(ロメールは、こういう連作形式で描くのが得意です)の第二作目。 いやー、「夏の日の思い出」には勝てっこないですよ、そりゃ。というお話しです(笑)。 それじゃあ身もフタもないんで、もう少し説明しま…

I'm in Heaven

マーク・サンドリッチ『トップハット』 RKOで制作された、いわゆる「アステア&ロジャース映画」に於ける最高傑作。 全編がアーヴィング・バーリンの作詞作曲で、マックス・スタイナーが音楽監督です。 1935年という不穏な時代にも関わらず、アステアはそんな…

しびれる!

深作欣二『仁義なき戦い』 戦後の広島の呉を舞台とする、今や伝説となったシリーズの第1作。 深作欣二は当初、シリーズ化するつもりはなかったらしく、大ヒットしている最中に東映の社長の一声でシリーズ化が決定したらしいです。 いかにも東映っぽい(笑)…

怒り!

小林正樹『切腹』 彦根藩初代藩主井伊直政の甲冑! 脚本橋本忍、撮影宮島義勇、音楽武満徹、美術戸田重昌。というなんとも贅沢な布陣で製作された小林正樹の代表作。 タイトルがタイトルだけに、佐野周二や笠智衆など一切出てこず、メインキャストが俳優座な…

『カメレオンマン』と対をなす名作。

ウディ・アレン『カイロの紫のバラ』 ウディ・アレン作品の中でも屈指の名作。 世界恐慌後のアメリカを描いた『カメレオンマン』『ラジオデイズ』は、いずれも素晴らしいですが、コレが1番素晴らしいかもしれません。 個人的には『カメレオンマン』を偏愛し…

荘厳な民衆賛歌

パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ『サン・ロレンツォの夜』 この少女が見た戦争の回想です。 イタリアへの連合軍の上陸、すなわち、第二次大戦の末期のムッソリーニ政権の断末魔時代を扱った名作は結構多いです。 パゾリーニの遺作『ソドムの市』は、サド…

現在のスタイルを確立する前夜。

ホン・サンス『ハハハ』 カナダに移住する映画監督チョ・ムンギョンとその先輩チュンシク(軽くうつ病で大学教授です)が、韓国の郊外にある、清渓山(チョンゲサン)で別れの宴会を開きながら、それぞれが徒然となく回想するという、ホン・サンスとしてはち…

ホントの事を言うためにウソをつく。

ウディ・アレン『カメレオンマン』 ちょっとヒネリ過ぎた邦題が微妙ですが、ウディ・アレンの悪意のエンターテイナーぶりが十全に発揮された、個人的にはウディのベスト3に間違いなく入る、大傑作。 TSUTAYAでは置いてたり置いてなかったりしますが、なんて…

ホンモノのデカダンスです!

ルキーノ・ヴィスコンティ『ヴェニスに死す』 高校から大学にかけて一番好きだった映画監督は、ヴィスコンティでした(笑)。 グスタフ・マーラーが好きだったこともあり、もう、飛びつきましたよ、レンタルビデオに(笑)! もう、何度も何度も見ましたなあ…

ロメールが『あまちゃん』を描いたら、こうなります。違うか。

エリック・ロメール 『海辺のポーリーヌ』 実は、ロメール、見た事がなくて(笑)。 ポーリーヌは、従姉のマリオンと一緒にモン・サン=ミシェル近くの避暑地の別荘で夏を過ごすことになりました。 お年頃のポーリーヌ。やっぱり男の子の事を考えがちです。 …

市川崑の隠れ傑作!

市川崑『ぼんち』 大阪の船場で5代続いた足袋問屋の没落した主の回想。というスタイルを取る、山崎豊子原作の小説の映画化。 船場の文化の絢爛さは、谷崎潤一郎『細雪』にふんだんに書いてますが、もう、あの世界はスッカリ失われてしまいました。 後年、『…

反復と差異

ホン・サンス『教授とわたし、そして映画』 またしても映画学科でのお話し。 同じ映画学科が舞台なのに、主役が変わったり、配役が微妙に違ったりしてしまいます。 映画監督のジング、ソン教授、オッキそれぞれの視点で映画は進み、映画は、 「呪文を唱える…

早すぎた作品

清水宏『有りがたうさん』 静岡209ということは、それくらいしか県で走っている車がないんですね。 戦前、とりわけ1920年代にとてつもないペースで映画を撮っていた清水宏の代表作。 上原謙(若大将のお父さんです。若い方はご存じないでしょうね)が山道の…

全人類必見の映像!

ジェフリー・レヴィ=ヒント『ソウルパワー』 モブツ大統領は、この音楽イベントにはカネを出してないようです。 出したのは、ボクシングだけです。 結局、リベリアのお金持ちが出資してくれた事でイベントもできたし、撮影もできたようです。 ケチンボ! 映…

モハメド・アリ追悼

リオン・ギャスト『モハメド・アリ かけがえのない日々』 原題は、『When We were Kings』。私たちが王だった時。ですね。 直訳の方がカッコイイです。 すでに歴史的事実なので書きますが、ヴェトナム戦争の徴兵を拒否した事でWBAヘヴィ級チャンピオンを剥奪…

そうとう歯ごたえありますよ。

イングマール・ベルイマン『仮面/ペルソナ』 冒頭のアヴァンギャルドな映像の積み重ねからしてベルイマンの絶好調ぶりが伝わる作品。 「お芸術」や「お勉強」にベルイマンを祭り上げではなりません! 今見ても、どの作品もビックリするようなエグリが効いて…

なぜ、「ヒーロー」なのかは見てのお楽しみ!

ジャコ・ヴァン・ドルマル『トト・ザ・ヒーロー』 ベルギーの映画なんて、なかなか見る機会はないですけども、本作の監督、ジャコ・ヴァン・ドルマルは長編第1作で世界的な有名となりました。 私が彼の作品で初めて見たのは、『八日目』という、ダウン症の少…

イニャリトゥ開眼の作!

アレハンドロ・ゴンサーレス・イニャリトゥ『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』 主人公の妄想と現実が同居している作品である事を端的に示す冒頭。 去年見た映画ではダントツに面白かったものをDVDにて再見。 『バードマン』という、アメ…

マイケルもジャッキーもココから学んだんですね。

ジーン・ケリー、 スタンリー・ドーネン 『雨に唄えば』 これぞ、「見た気になっている映画」の筆頭かもしれません。 舞台がサイレント映画末期のハリウッドである事すらよく知られてないかも。 主人公を演じるジーン・ケリーは旅芸人から、大スターにまで上…

オカマちゃんの三人がうまいこと!

ペドロ・アルモドバル 『アイム・ソー・エキサイテッド』 2000年代以降、に最も打率と打点の高い監督は誰かと言われたら、恐らくは、ペドロ・アルモドバルの名前はほぼ確実に出てくるでしょうね。 とにかく、どこかエキセントリックで独特の語り口を持つアル…

見たことないユニークない映画!

イェジー・スコリモフスキ『シャウト』 なんとも不思議な雰囲気の映画ですね。 おお、『ロッキーホラーショウ』の主人公だった、ティム・カリーが出てます。 ショットの積み重ねが誰とも似てない。 どこか不穏です。 クリケットの試合から始まる映画なのです…

コレは怖い。

ジョーゼフ・ロウジー 『召使』 ダーク・ボガードとロウジーのコンビ作品は結構ありますね。 コレもその1つです。 ダーク・ボガードは何度もハリウッドからお呼びがかかっていたらしいですが、結局、一度もハリウッド映画には出てません。 でも、ハリウッド…

邦題に騙された人少なくないかも。

ホン・サンス 『アバンチュールはパリで』 邦題は内容を示しているようないないような。 いつものオープニングになぜかベートーヴェンの交響曲第七番の第2楽章! しかも、ちゃんとフルオケ! ザルドスなのかな?と思ったんですが、ゴダールの『ドイツ零年』…