エロを生涯にわたって追求した人ですね。
エリック・ロメール『クレールの膝』
1番最初の連作「六つの教訓話」の第5作目。
それにしても、ロメールはぜんぜん作風が変わらないですね。
本作は若い頃の作品ですが、ホントに変わらないです。
とにかく、男と女のおしゃべり、おしゃべり、おしゃべり。
初期の方がもっとその傾向が強いですね。
避暑地の別荘で男と女のとりとめのないおしゃべりをさせる。
この極端にミニマルな状況は、ゴダールもよくやりますが、ロメールは眠くなったりするようには作っていませんね(笑)。
そこがゴダールと決定的に違います。
この特に何にもしないで湖畔でゆっくりと過ごす。という、まあ、フランスのブルジョワの生活なんでしょうけども、こういうあり方は、現在の日本人には縁遠いものでしょうね。
こういう環境から、ロラン・バルトのような人が出てくるんでしょうね。
ただ、小津は結婚。という問題に収斂していきますが、ロメールは、恋愛を遊びますね。
中年男ジェロームはこれを「実験」と言ってますが。
ココでも、中年男に憧れるおませな女の子が描かれます。
とはいえ、この娘には、ヴァンサンというボーイフレンドがいるんですが。
中年男は、この避暑地での様々な人々との対話を通して、愛、愛情というものを考えております。
タイトルの「クレール」は、映画の半分くらい過ぎたところで出てくる美少女です。
このお話の後半はこのクレールとの「実験」となっていくわけですが、これは見てのお楽しみ。
とにかく、ロメールは語り口が抜群にうまく、大してスジなんかなくても面白いですね。
そういう、スジで話を進めていくことに、抗って映画を撮っているということなんだと思います。
ロメールは一旦好きになると、全部見ざるを得なくなるような作家ですね。
男の純情がとてもうまく描かれた傑作だと思います。