105歳の監督が問う、ホントに根性があるということ。

マノエル・ド・オリヴェイラ『家族の灯り』 1908年生まれ。と言うことは、朝比奈隆とかヘルベルト・フォン・カラヤン、レスター・ヤングと同い年という事です! 気が遠くなる。。 登場人物が少ない映画は、別に珍しくはないですけども、こんな狭い部屋だけで…

とうとう日帝時代も単なる設定になる日がきました。

チェ・ドンフン『暗殺』 暗殺指令を受ける3人。 前作『10人の泥棒たち』に続き、チョン・ジヒョン(全智賢)を主演とする作品で、キャストも前作とかなりかぶりますね。 今回はタイトル通り、暗殺者たちの映画です。 舞台は、1930年代の日本の植民地下にあ…

愛、愛、愛!

エドガー・ライト『Baby Driver』 大感動! 音楽への、そして、SONYへの、愛、愛、愛。 別に泣かせる映画だとは思いませんが、なぜかラストが泣けました。 タイトルと宣伝を見ても、正直、アンマリ面白そうな映画ではなかったので、期待してませんでした。 …

ハリウッドを凌いでいるのではないか。

チェ・ドンフン『10人の泥棒たち』 韓国、中国のスターが勢ぞろい! 『オーシャン11 』の焼き直しなのかな?などと思ったアナタ! コレはもうオドロキの映画なのでございます。 ツタヤが「コレは絶対に面白いです!」と激推ししていたのは、間違いなかったど…

変態はとまらない!

増村保造『痴人の愛』 オープニングがカッコイイですねえ。 谷崎潤一郎原作の映画化(3度目)。 31歳の製造業に勤めるリーマンのジョージ(小沢昭一)がナオミ(大楠道代が安田道代として活躍していた頃ですね)という女に食いものにされていくお話しです。…

荒木飛呂彦もビックリな映画!

フェデ・アルバレス『ドント・ブリーズ』 ゴーストタウンにたった1人で住んでいるおっさんの家から大金を盗み出そうとする3人。 コレはよく考えられた映画だなあ! 映画の性質上、ネタバレしたら、全く面白くないので、できるだけしないようにしますけども…

韓国映画の水準の高さを証明する傑作!

キム・ホンソン『技術者たち』 キム・ウビン演じる金庫破りがとにかく見事! ジョン・ヒューストン『マルタの鷹』のように、体脂肪率が10%を楽々と切った、良質なタンパク質だけで見せてしまう映画はそうないですが(増村保造くらいでしょうね)、それがなん…

恐怖映画はサービス精神がないとね。

ヴェルナー・ヘルツォーク『ノルフェラトゥ』 F.W.ムルナウの同名タイトルの古典的名作のリメイク。 全編にわたってムルナウというか、サイレント映画へのオマージュが散りばめられていて、かなりの力作です(白黒で撮ったら、もっとよかったですね)。 クラ…

邦題に惑わされずに見てください! 傑作!!

サム・ペキンパー『Cross of Iron』 とにかく、ペキンパーを侮辱していると思えない邦題はやめてくれ! 邦題、ひどすぎ(笑)!スプラッター映画じゃないよ! さて、西ドイツ、イギリスの資本で製作された本作は、ソ連とナチスドイツの凄絶な戦いを描いた大…

ペットショップ・ボーイズは中国人民を救う?

賈樟柯(ジャ・ジャンクー)『山河ノスタルジア』 いきなりダンス! いきなりビックリです。 なんと今時スタンダードサイズで撮影してますよ。 1950年代の映画ではないですよ、コレ。 2010年代の中国です。 内戦から立ち直ったアフリカのとある国が乏しい機…

EU映画って、初めて見ましたね(しかも治療付き)

マーレン・アーデ『ありがとう、トニ・エルドマン』 仕事に追われまくる娘を案じる父。 ドイツ映画。というのは、ヴィム・ヴェンダース、ヴェルナー・ヘルツォーク辺りしか見ることはないんですけども、この映画はそういう西ドイツ時代の巨匠と並べても何ら…

小津的なテーマをヴィスコンティが撮ったら、こうなります。

ルキーノ・ヴィスコンティ『家族の肖像』 趣味で「家族の肖像」をコレクションする老教授。 とても変わった映画です。 というのも、バート・ランカスター演じる老教授のアパートメントから一切出る事がありません。 そこにやってくる、シルヴァーナ・マンガ…

スゲエわ、アントニオーニ(笑)。

ミケランジェロ・アントニオーニ『L'eclipse』 オープニングがいつもカッコいいんですよね、アントニオーニは。 邦題は誠に不愉快! 『暴力脱獄』(原題Cool Hand Luke)と並ぶ、最悪邦題と言ってよい(このタイトルのせいで、ツタヤでは、アクション映画のコ…

『地獄の黙示録』と『キングコング』をマッシュアップ!

ジョーダン・ヴォート=ロバーツ 『キングコング 髑髏島の巨神』 完全に『地獄に黙示録』(笑)。 あまりのデカさに呆然! すごい!ブラックサバス「パラノイド」が爆音でかかる中を髑髏島をヘリで爆撃(一応、地質調査してるのですが・笑)! 面倒な前フリ…

『ツインピークス』の要素はここにすでに出来上がっていました。

デイヴィッド・リンチ『ブルーベルベット』 オープニング。青いカーテンを赤くしたら、ブラック・ロッジですよね。 コレはホントに何度見たのかわからないほど見ましたね。 リンチの作品で一番好きな映画は何ですか?と言われるとやっぱりコレです。 彼の作…

アントニオーニ作品としては、見やすいですよ。

ミケランジェロ・アントニオーニ『夜』 白黒で無機的には映し出される高層ビル群が不穏で美しい。 末期ガンの友人のお見舞いにいく、マルチェロ・マストロヤンニとジャンヌ・モロー(結局、友人は亡くなってしまいます)。 マストロヤンニは白黒がホントに似…

今見ると、SF映画のようにも見える傑作。

ミケランジェロ・アントニオーニ『赤い砂漠』 不気味なオープニング。 オープニングが醸し出すコワサが尋常ではありません。 SF作品ではないと思いますが、映像からビンビン伝わるディストピア感がものすごいものがありますね。 ホテルの廊下もアントニオー…

ゴダールはストーンズに興味ないです(笑)。

ジャン=リュック・ゴダール『ワン+ワン』 みんな若いですね。 一見、ローリング・ストーンズの名作アルバム、『べガース・バンクェット』のメイキング映画見たいな体裁ですけども、ゴダールはローリング・ストーンズにも興味なさそうというか、ロックのこ…

フェリーニの『アマルコルド』へのオマージュ作品ですね。

ウディ・アレン『レディオデイズ』 一応、このユダヤ系の家庭を中心に描かれます。 「レディオを聞くなんて、なんてケシカラン!」 この「レディオ」に「テレビ」や「ゲーム」、「インターネット」を代入すると、おんなじことが言えると思いますけども、アレ…

「正しい」とはなんでしょうね。

ヴェルナー・ヘルツォーク『カスパー・ハウザーの謎』 実際、このような姿で広場で発見されたのだそうです。 原題を訳すると、「人は皆ひとりぼっちで、神はそれを救わない」なのですけども、コレでは何だかわからないという映画会社の判断で、謎の多い実在…

妄想に取り憑かれた男の狂気!

ヴェルナー・ヘルツォーク『アギーレ、神の怒り』 この異様なオープニングの構図がすごいですね。ヘルツォークの才能を感じます。 ヘルツォークは一貫して、異形、辺境を描き続ける監督ですが、今回は、16世紀の南米です。 南米を舞台にした作品はこれ以外に…

かなりアヴァンギャルドな作品です。

木下恵介『日本の悲劇』 ヤミ米の取り引きをしてでも子供を養おうと必死な春子。 大島渚は若い頃は怒りに満ち満ちた映画を数多く作りましたが、当時、松竹で最も人気のあった監督であった木下恵介が作った、まさに「怒りの映画」です。 木下恵介の作品の作品…

えっ。。とその場に置き去りにされてしまいます。

ミケランジェロ・アントニオーニ『欲望』 1960年代のロンドンをこんな冷たいタッチで描いた監督はいないでしょう。 なんでしょうね。 どのシーンも何かガランとした印象です。 ロンドンの街中を写そうと、室内を写そうと、常にガランとしているんですね。 こ…

現代のクールな鳥獣戯画

セス・マクファーレン『Ted』 日中はマリファナばかりやっているどうしようもないぬいぐるみ。 コレは予想以上に面白かったですあ。 クマのぬいぐるみを使った毒にも薬にもならないどうしようもない映画の体裁を敢えて取りながら、その実は大変ブラックコメ…

コレも完全版が見たいですねえ。

ベルナルド・ベルトルッチ『ラスト・タンゴ・イン・パリ』 衣装と撮影が素晴らしい作品でした。 日本で発売されているDVDでは「完全版」と書いてますが、ご存知のように、完全版は4時間近い大作です。 残念ながら、このバージョンを見る事はどの国もできな…

静かな余韻が心地よい名品。

バリー・ジェンキンス『ムーンライト』 バリー・ジェンキンスは、わずか長編2作目にして、アカデミー作品賞となりました。 いやー、沁みました。 予想をはるかに超える出来栄えでホントに驚きです。 こんな繊細な映画を撮るアメリカ人監督がいるんですなあ…

衝撃/笑撃のラスト!

ルイス・ブニュエル『皆殺しの天使』 オペラ鑑賞の後の楽しい晩餐の筈が。。 メキシコ時代にブニュエルはたくさんの映画を作りましたが、これもその中の1つ。 フェリーニがこういう映画を作ったら、当然、ニーノ・ロータの音楽がついていて、シルヴァーナ・…

恐るべし、韓国映画!

パク・チャヌク『お嬢さん』 原作は19世紀のイギリスですが、日本植民地下の朝鮮のお話に置き換えられています。どこかヴィスコンティ的な発想ですね。 ド変態監督(褒め言葉ですよ、念のためですが)、パク・チャヌクがまたしても変態ぶりを爆発させた大作…

呆気にとられる大ベテランの快作!

イエジー・スコリモフスキ『11ミニッツ』 老いて益々盛んというか、作品が全く老成するどころか、若返っているのでは?というスコリモフスキの新作。 ロマン・ポランスキの名声と比べるとなぜか日本では今ひとつ知られていないスコリモフスキ。 またしてもた…

低温映画。という新しいジャンルなのではないか。

カルロス・ベルムト『マジカル・ガール』 この冒頭に出てくる2人が誰なのかは見ているとわかります。 何やら、日本のアニメへのオマージュがあるスペイン映画だときいて見てみたら、ものすごい映画でありました。 敢えて近いものを提示するのなら、ペドロ・…