2015-01-01から1年間の記事一覧
エクトル・バベンコ『蜘蛛女のキス』久々に見返したんですけども、ますます好きになりました。ブラジルの軍事政権下のお話でしょうか。ウィリアム・ハート扮するゲイと政治犯で捕まった、ラウル・ジュリアが同じ部屋に収容されてるなんて、よくよく考えてみ…
ジョセフ・ロージー『できごと』赤狩りでハリウッドにいられなくなり、イギリスで映画を取り続けたジョセフ・ロージーの傑作。冒頭に起きるオクスフォード大学の教授扮するボガードの自宅の近くで起こった車の事故から、この人たちの人間関係に一体何があっ…
吉田喜重『エロス+虐殺』大杉栄と伊藤野枝の伝記を、非常にユニークな手法で撮った大作。大杉栄が実践していた、あらゆる所有権の放棄(それは婚姻にも及び、大杉は一夫一婦制を否定していた。なので、正妻1、愛人2がいるという状態であった)が招いた殺人…
山川元『東京原発』2004年公開。タイトル通り、東京に原発を作ろう。という内容なのだが、こんな映画が我が国が作ってました。あの事故の前に。相当な低予算映画ですが、であるがゆえにそれを逆手にとった作りです。小泉元首相をモデルにしたと思われる、役…
浦山桐郎『キューポラのある街』脚本に今村昌平、音楽が黛敏郎。そして、主演が吉永小百合様(東野英治郎の娘というのは、納得できんが)。私は、清く、正しく、美しい映画がニガテでございまして(『二十四の瞳』とか『ビルマの竪琴』ですね)、なかなかこ…
森崎東『生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言』驚きました。この映画のテーマが2015年に思い切りスパークしてるんですよ。タイトルからは全く想像できませんが、この映画の通奏低音は、沖縄のコザ暴動と福井県の美浜原発の問題なんですよ。そし…
長谷川和彦『青春の殺人者』あまりにも鮮烈なデビュー作。ギリシャ悲劇におなじみのテーマをこんな形で表現するなんて。主演の水谷豊、原田美枝子の素晴らしいは言うまでもないが、市原悦子の艶かしさが異様なまでに印象に残る。青春の暴走ものは、古今東西…
岡本喜八『殺人狂時代』チャップリンの同タイトルの映画がありますが、全く関係ありません。もともとは、日活の企画だったらしいです。元ナチスが出てきたりと、いい加減な設定が、宍戸錠主演のアクション映画っぽい感じですが(これ、もしかして、鈴木清順…
岡本喜八『日本でいちばん長い日』1967年公開です。ということは、出演している人たちのほとんどが、戦争経験者であるというこのすごみ、重み。しかも、昭和天皇や重臣たちの家族は健在であるわけで、時代的な緊迫感がハンパではございません。この映画、タ…
ビル・ポーラッド『ラヴ&マーシー』ビーチ・ボイズ。というよりも、ブライアン・ウィルスンの伝記映画というべき映画でありまして、そうなると、ヒット曲量産時代のビーチ・ボイズはほとんどナシであります。若い頃のブライアン(精神を壊してしまうまで)…
トラン・アン・ユン『青いパパイヤの香り』DVDになっているのに気づかず、見てなかったのでした。この映画、前半、すなわち、主人公の女の子が10歳の頃がよかったです。少しずつ零落していってるお金持ちの家に奉公人に出されているムイから見た斜陽族の姿を…
ジャン=リュック・ゴダール『東風』ゴダールは、突然、「ジガ・ヴェルドフ集団」を結成し、一連の低予算映画を作りましたが、これはその中の一作。ストーリーは特になく、マカロニウェスタンの有名な悪役や、映画監督のクラウベル・ローシャなんかが画面に…
デイヴィッド・ハンド『白雪姫』 1937年にウォルト・ディズニーが制作した長編アニメーション第1作。 桁外れな時間とカネをつぎ込んで作った作品であり、興行では『風と共に去りぬ』を超えてしまったという、ほとんどオバケのような作品であり、現在まで続…
イングマール・ベルイマン『夏の遊び』。ベルイマンというと、『第七の封印』や『野いちご』と言った、結構厳しい映画を撮る監督ですが、この若い頃に撮られた本作は、特に、前半のキャメラワークが随分と若々しく動きまくり、ちょっとアメリカ映画にかぶれ…
岡本喜八『ダイナマイトどんどん』 アメリカにロバート・アルドリッチがいるが、わが日本には岡本喜八がいる! 出だしの菅原文太たちの暴れっぷりを見てくださいよ! 胸がスッとしますよね。 これが映画ってモンです。 昭和25年。 未だGHQが日本を占領統治し…
ジョージュ・ルーカス『アメリカン・グラフィティ』実は見てなかったんですね。イヤな予感があって。ストーリーはほとんど知らないまんま見ました。今の目で見て、正直に申し上げて、そんなに面白いとは思いませんでした。伝説のDJ、ウルフマン・ジャックが…
ウィリアム・フリードキン『エクソシスト』。これを撮ったのが、あの『フレンチ・コネクション』と同じというのに驚くけども、ホラーはほとんど見ない私にも、これは文句なしに面白かったです。どうも、脅かしたり、爆発したりする映画には偏見がありますね…
ジョエル&イーサン・コーエン『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』売れないフォーク・シンガーが結局、何にも売れませんでした。という、コーエン兄弟お得意の、ジワーッとくる苦いお話し。何をやっても中途半端で裏目ばかり。そして、その彼の横を通っ…
ガブリエル・アクセル『バベットの晩餐会』 久々に見返したんですけども、沁みましたねえ。 別に泣ける映画だとは思いませんでしたけども、なぜか泣けました。 お話しの舞台は、19世紀後半と思しきデンマークの寒村。 デンマークは厳格なプロテスタントの国…
鈴木則文『トラック野郎 天下御免』いやー、面白かった。一応第4作目なんですが、このシリーズは別にどこから見ても特に問題ないです(笑)。そういう風に作ってます。もう、金子信雄のコテコテ利権誘導政治家の演説からしてもう最高ですね。ちなみに、オー…
スパイク・ジョウンズ『her』。これはまたすごい映画ですねえ。PVの監督の頃から抜きん出た才能の人でしたが、『マルコヴィッチの穴』と比べても、内容的に更に素晴らしいです。作家として明らかに成長しましたね。OSのサマンサと恋をしてしまう、セオドアさ…
シドニー・ルメット『狼たちの午後』ルメットお得意の実録モノ。邦題に偽りがあるが(原題はDogs Day Afternoon)、ルメット=パチーノのコンビにはハズレなし。ズッコケ3人銀行強盗の手際の悪さ。「オレ、銃なんて撃てねえよ」と、早速1人脱落。相棒のジョ…
アンドレイ・タルコフスキー『ストーカー』タルコフスキーのSF作品としては、『惑星ソラリス』が有名ですが、これもそうなんです。原作はストルガツキー兄弟。これでギクリ。ときた方は、かの、『神々のたそがれ』という、トンデモ映画と原作が同じだ。とい…
エドワード・ヤン『恐怖分子』。平日だったせいか、観客はたったの3人でした。うーん。これほどの名作なのですが。。何とも恐ろしげなタイトルですが、クローネンバーグのような映画ではないです(笑)。それよりも、とても似ている映画がありますね。ルイ…
リドリー・スコット『ブレードラナー』。実は、DVDになってから、一度も見ていないのでした。もう、VHSで何度見た事か。完全版は、買いましたよ(笑)。その後もディレクターズ・カットが出て21世紀になってまた(笑)。もう説明するのも野暮ったいので、ウ…
シドニー・ルメット『セルピコ』。正義の人、シドニー・ルメットの傑作。アル・パチーノは70年代に当たり役が多いが、これも代表作と言っていいでしょう。刑事モノだが、テーマは犯人を逮捕する内容ではなく、ニューヨーク市警の腐敗。闇賭博を見逃す代わり…
ジョージュ・ミラー『マッドマックス 怒りのデスロード』 序盤のマックス、ひどいです! 邦題がいろんなところからの寄せ集めなのがヒャッハー! 私の予想をはるかに超える面白さ!ヒャッハー!!! マックスのV8インターセプターが襲撃されてグルングルンと…
アンドレイ・タルコフスキー『鏡』 タルコフスキーは大好きなので、ほとんど見てますが、これは見てなかったんです。 いわく、「難解」だの、「ストーリーがない」だの、この作品をひどく言う言説がまかり通っていたもので、それを真に受けてしまっていたん…