ガブリエル・アクセル『バベットの晩餐会』
久々に見返したんですけども、沁みましたねえ。
別に泣ける映画だとは思いませんでしたけども、なぜか泣けました。
お話しの舞台は、19世紀後半と思しきデンマークの寒村。
牧師には大変美人の姉妹がいました。
そこで清貧の生活を厳格に行っている姉妹のもとにいるフランス人の召使い、バベット。
カチンコチンの牧師であった父の仕事を助けていたので、婚期を逸してしまった美人姉妹のもとにやってきた、フランス人のバベット。
なんで、フランス人がこんなプロテスタントの厳格な教派の村にいるのか?というところから、物語は過去に遡っていくわけなんですけども、役者さんがみんなうまいですね。
このオペラ歌手が重要なキャラクターの一人ですが、見てのお楽しみ。
バベットが購入していたフランスの宝くじが大当たりして、1万フランが手に入ってしまいました。
バベットは自らパリまで出向いて、食材や食器を買ってくるのです。
それをバベットは一夜の晩餐会のためにすべて使ってしまいます。
この映画のメインは、タイトル通りに、そのバベットが作る、モノホンのフランス料理による晩餐会になるのですが、プロテスタントである村の人々は、美味いものに現を抜かして、大騒ぎするという習慣がなく、ヘタすると、とんでもないモンを食わされるのでは?という恐怖心すら持っているのです。
恐ろしく地味な題材の映画ではあるんですけども、とても心の贅沢になりました。
豊かであるということは一体なんなのか?文化的対立(あるいは、都会と田舎)というものを乗り越えていく術はあるのだろうか?という、とても今日的な問題に、誠実に向き合った小傑作でありました。
「ごちそう映画」(私が勝手に作ったジャンルです)のひとつとしても特筆すべきものです。
たったの90分しかないのも、実に見事ですね。最近の映画は長すぎます。
また、しばらくしたら見たい映画ですね。
追伸
食材のウミガメにショックを受けて、悪夢を見るシーンのベタさは必見!
晩餐シーンの美術、演出は特筆すべき素晴らしいものです。まさに芸術品。