ゴダールはゴダールである。

ジャン=リュック・ゴダール『東風』

ゴダールは、突然、「ジガ・ヴェルドフ集団」を結成し、一連の低予算映画を作りましたが、これはその中の一作。

ストーリーは特になく、マカロニウェスタンの有名な悪役や、映画監督のクラウベル・ローシャなんかが画面に映ってますが、彼ら彼女らである必要は特にないです。

ひたすら、ゴダール的としか言いようのない、絶妙な画面編集と、ずっとあたかも本当っぽい左翼のアジテーションが延々と続く、普通に見れば異様としか言いようがない作品であり、ほとんどの人は呆気にとられてしまうでしょう。

しかし、ゴダールは左翼運動家だからこんな事をやっているのでしょうか?

私はそのようには思えなかったです。

むしろ、今見ると、そういう左翼的なアジテーションの意味がどこかに飛んでしまい、映像それ自体が持つ、強烈なアジテーション性がむしろ強烈な印象を与えます。

彼が糾弾しているというか、怒っているのは、政治じゃなくて、映像が持っている暴力を批判したいんじゃないでしょうかね。

しかも、こういう事をやっているのに、チャンと眠くなってくる。という、ゴダール映画のすごさですよ。

ゴダールをここから見るのは絶対にやめたほうがいいと思いますが(笑)、ゴダール中級は、ここから始まると思います。

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