スティーヴン・ヘレク『ビルとテッドの大冒険』
2020年にまさかの続編が公開される、まだ無名時代のキアヌ・リーヴス主演の作品。
ロックスターになりたいのにギターがロクに弾けないビルとテッド(笑)。
タイムトラベルものなのですが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の製作費の1/10もないと思います。しらんけど。
映画のテイストが1970年代にとにかく、マンガを原作とした映画を量産していた鈴木則文のテイストが濃厚で、とにかく全体の作りがチープ(笑)。
じゃあ、つまんないのか?というと、実はそうではないんですよ、コレが。
主人公の二人である、ビルとテッドが特に何の努力もせず、適当にタイムトラベルをし、ナポレオン1世、ソクラテス、ビリー・ザ・キット、フロイト(ビリー・ザッパ・キットが投げ縄で捕まえます・笑)、ベートーヴェン、ジャンヌ・ダルク、リンカーン、チンギス・ハンたちを次々と拉致するんです(笑)。
電話ボックスがタイムマシーンです。
なんでこんな事をしているのか?が前半なんですけども、そこは見てください。
ただですね、前半は正直タルいです。
なんなのよ、これ。と不安になる事この上ないですね(笑)。
しかし、この人たちが現代に揃ってから、脚本が異様なまでにノッてきます。
しかも、前半にまいておいた伏線が絶妙に生きてきます。信じられない事に(笑)。
ナポレオンですね(笑)。絶妙に似てないのがツボです。
登場人物のほとんどがボケキャラなので、誰も突っ込まない壮大なボケコントである前半が醸し出す不安が、後半の見事に解決していくという凄さ。
フロイトを捕まえようとしているビリー。
アホのフリをして実はものすごく頓知がききまくった展開は、ホントに面白いことこの上ないです。
冗談抜きで、コレがキアヌ・リーヴスが注目させるキッカケになった映画だったんでしょうね。
鈴木則文も一見、東映のコテコテ路線にそのまんま乗っかっていた監督のフリをした、実に反骨精神を持った人でありまして、『徳川セックス禁止令 色情大名』という、日本映画史上に残る傑作を残してますよね。
そうなのです。コレは、「アメリカの鈴木則文映画」なのですね。
この映画の第3作目をキアヌ・リーヴスの提唱で作られたというのは、酔狂なのではなくて、Covid-19の感染に苦しむアメリカの人々に笑いと勇気を与えるために、「ビルとテッド」のおバカコンビを復活させたのでしょう。
映画史的には何の重要性もないと思いますが、アメリカの素晴らしさが満載の快作として記憶に強く残ります。
Excellent !!!! ビル役のアレックス・ウィンターは現在は映画監督です。