エミール・クストリツァ『黒猫・白猫』
こういう、ひどいのにユーモラス。という表現がホントにうまい監督です。
相変わらず、冒頭から猥雑で騒がしい作風は一貫していて、画面を覆い尽くしている生命力がものすごいですね。
何度も唐突に挿入される、車を食べる豚。生命力を象徴してるんですね。
こういう、意味不明な猥雑さがクストリツァの魅力です。
西ヨーロッパの人々には全くない濃厚さが、同じ「ヨーロッパ」というくくりでも、バルカン半島は全くの別世界である(言語もかなり違いますね)事を強烈に印象づけます。
ストーリーはごくごくシンプルに言いますと、ジプシーのサグライフと彼ら彼女らのリアルを描いているのですが、何しろクストリツァですから(笑)、今村昌平とフェリーニを足して10倍に濃縮したみたいな感じです。
ヤクザなマトゥコが、ギャングのダダンにカネを騙し取られ、息子のザーレはダダンの妹と結婚させられそうになっています。
ダダンは強欲な悪党で、マトゥコの父であるザーリェからガソリンスタンドを買い取っており、カネを持っている事を知っていて、そのカネすら巻き上げようとしているんですね。
しかし、ダダンは、カネを払う代わりに妹のアフロディタとザーレを結婚させるのだったら、カネは払わなくてもいい。という条件を提示してきたので、マトゥコは仕方なくこれを承諾してしまいます。
ダダンのジャイアンぶりが楽しいです。
マトゥコとゴッドファーザー。いつもファンキーな電動車椅子に乗ってます。
しかし、ザーレにはイダという恋人がいますし、アフロディタは勝手な婚約に大反対です。
イダとザーレ。
という事です、ここから結婚狂想曲がしっちゃかめっちゃかに展開していきまして、ココが見どころです。
2人は無理矢理結婚させられてしまうが。。
こういう話は多少強引な方が面白いわけですが、強引な展開はクストリツァの得意とする事ですから、まさに水を得た魚状態。
とにかく、痛快極まりない映画でございました。
とにかくハッピーエンドなんです。