フランソワ・トリュフォー『ピアニストを撃て』
シャルル・ゲンズブール演じるピアニストは、彼の代表作となりました。
一応、フィルム・ノワール調なのですが、どこかトボけていて、延々と間抜けな二人組のギャングに車にアズナブールたちが拉致されながらのどうでもいい会話(明らかにタランティーノがその後マネしていますね)や、しがない場末のピアニストが実は大ピアニストであるみたいな、ご都合主義的な設定などなど、意図的な文法破壊が、ゴダールとはまた一味違う形で、チクリチクリと出てくきますね。
こういう手法を、全く独自に発展させていったのが、鈴木清順でしょう。
それがこの映画の価値を今一つわかりにくくしてしまっている点なのかもしれません。
ちなみに、この映画のタイトルから、エルトン・ジョンの初期のアルバム『ピアニストを撃つな』がつけられたのは、言うまでもありません。