谷崎潤一郎の原作の初の映画化。
昭和3年に『改造』に発表されたかなりキワキワの小説を、戦後に設定を変えて、相変わらずのドライな演出で見せる増村の演出が素晴らしい。
バイセクシャル、四角関係、ドラック、フリーセックス、悪魔主義に耽美主義。と、やりたい放題の原作(メロドラマのほとんどは、『卍』のヴァリエでしょうね)を、ドロドロのベッタリにならないどころか、たったの90分でカタをつけてしまうという手際に驚いてしまう。
だんだんギャグみたいになっていくのもおかしゅうございました。
ラストは松本人志の「えええええ〜……」でございます(笑)。
新藤兼人の脚本が見事ですね。こんなぶっ飛んだ展開を書ける人なんだあ。と、改めて尊敬してしまいました(まあ、『えんかえれじい』の脚本も新藤ですからね)。
60年代の増村保造は、平均点が高く、どれもこれも見どころがありますね。必見。