ライアン・クーグラー『クリード』
アポロの隠し子で、やんちゃすぎて更生施設に入れられていました。
まさかのスピンオフ作品。
アポロの息子、アドニスがプロボクサーになり、とっくにボクシング界から引退しているロッキーがコレを育てるという話しです。
正直、申し上げて、最近のハリウッド映画にはほとんど愛想が尽きていて、もうこんな企画しか出てこないのか?と、何の期待もしてませんでした。
しかし、やたらと『クリード』ものすごくいいよ!という声がチラホラと出てくるんですよ。
スタローンがすごくいいんだと。
事実、スタローンはアカデミー賞の助演男優賞にノミネートされてしまいました。
驚きです。
で、見てみたんですね。
映画はある意味全然ひねりなし。
真っ向勝負です。
そこがよかったですね。
面白かったのは、アドニスがかなりのおぼっちゃまという設定ですね。
『はじめの一歩』の鷹村もおぼっちゃまの設定ですが、そのまんまです。
で、これまたそこがいいんですよね。
エリートビジネスマンの生活を捨ててしまう。
ロッキーとアポロの試合をyoutubeで見たり、歌手志望のガールフレンドとのラブラブシーンとか、いい塩梅なのです(笑)。
ガールフレンドもなかなかよいです。
ハングリーがないわけではなくて、ロッキーの言うことはとてもよく聞いて一生懸命練習します。
そう言うところが何か一歩くんと鴨川会長のような微笑ましさがあるんですね。
ロッキーとミッキーは最初ケンカばかりでしたけど。
スタローンは、ホントに素晴らしいです。
オレがオレがと画面に出てこなくて、引いた演技が見事ですね。
うまいという感じではないですけども、存在感がもう素晴らしいです。
アクション映画以外のオファー来るんではないでしょうか。
ストーリーはホントにヒネリ一切なしの正攻法です。
しかも、全然力みとか空振りが全くなくて、とても的確なんですよね。
驚きました。普通にいい映画なんで。
アドニスもまたロッキーと同じように「かませ犬」としての試合がストーリーのメインになるんですが、相手選手も実は追い込まれているところが、無敵のチャンピオン、アポロ・クリードとの違いがあります。
試合の後に刑務所行きが決まっている、悪童チャンピオン、コンラン。
アドニスが強くなるのが、トントン拍子過ぎる気がしないでもないですが、フィラデルフィアのゴンタクレとLAの素直なおぼっちゃまの違いでしょう。
素質のある人が素直に言うこと聞いてトレーニングしたら、強くなるという事なのでしょう。
さて、肝心のボクシングシーンですが、これがすごいです。
1つのキャメラで延々ノーカットで追い回します。
こんなにキャメラ近いのに、ワンショットなんですよ、コレ。
クリードのプロとしての第一戦(実は、コッソリとメキシコで試合をしていて、無敗でしたが)の2RKOまでをワンショットで撮るというすごい事をやってます。
キャメラの動きが余りにもスムースなので、すごい事に気づかないほどすごいです。
『バードマン』がなかったら、これがアカデミー撮影賞だと思います。
試合前の記者会で、ビーフをしかけるチャンピオン。
ボクシングシーン自体も、『ロッキー』とは比べものにならないほどリアルです。
淡々としてますが、結構すごいですよ、このボクシングシーンは。
さすがに世界チャンプとの戦いは、編集が入りますが、これとて、ホントにリアルなボクシングです。
『ロッキー』と言えば、あのビル・コンティが作曲し、メイナード・ファーガスン・オーケストラが演奏したあのテーマ曲ですが、余りにも絶妙なシーンで使うので、もう泣けてしょうがないです。
久々にハリウッド映画堪能できました。