ドゥニ・ヴィルヌーヴ『メッセジ』
シャレにならないほど巨大な物体が世界各地に出現。
見ていると、初めは『アレッ、これはタルコフスキーの『サクリファイス』と『惑星ソラリス』のパクリなのかな?と思わせるところが多々ありました。
あと、明らかに『2001年宇宙の旅』のパクリみたいなショットがチラッと出てきます。
恐らく、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は、相当にアンドレイ・タルコフスキーが好きなのでしょう。
自作の『ブレードランナー2049』でも、明らかに『サクリファイス』を思わせるシーンが冒頭に出てきます。
ある時、巨大な12の物体が地球上に現れ、大混乱になります。
言語学者のルイーズ・バンクスの元に、陸軍が現れます。
「この言語を分析してほしい」
なんと、あの巨大な物体には、地球外生命体がいるようで、コンタクトを取ってきているようなのです。
その地球外生命体は、7本の脚があり、「セプタポッド」と便宜上呼ぶ事にしました。
ガラス越しに二体のセプタポッド(アボットとコステロと呼んでます)と接触します。
ルイーズの根気強い接触によって、彼らの言語は、発話と文字は結びつかない事がわかり、表意文字である文字を使ってのコミュニケーションが可能である事がわかってきました。
なんと、これがセプタポッドたちの文字なのです。
ルイーズたちの研究者スタッフは、「あなた達は何の目的で来たのですか?」という質問が出来るようにするために、セプスポッドの言語のボキャブラリーを蓄えていきました。
しかし、ココで大問題が起きます。
このセプタポッドと接触しているのは、アメリカだけではなく、ロシアや中国、日本などの国もそれぞれに接触していたんですね。
そこで、「武器」という言葉が出てきたことで中国の人民解放軍がセプタポッドに恐れを感じ、とうとう宣戦布告を宣言し、これにロシアとスーダンが同調し、各国も情報交換を一切やめてしまいます。
この接触から対立までを、ヴィルヌーヴはゆっくりじっくりと描いていくんですね。
こういう静かでゆっくりとしたら語り口が実にうまいですね。
『ブレードランナー2049』は大変残念な作品でしたが、本作は大変素晴らしいと思います。
セプタポッドの手(?)は、結構コワイです(笑)。