モデルとなる主人公は映画公開後に射殺されます!

深作欣二『北陸代理戦争』

 

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深作欣二実録やくざ映画の最終作。


いきなり組長の西村晃が生き埋め!

 

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のちに水戸黄門をやる事になるとは(笑)


競艇の経営の権利を若頭の松方弘樹に強奪されてしまいました(笑)。

 

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福井のやくざはかなり凄絶です!

 

そこに、大阪のやくざの武闘派である金井組が着々と進出しているんですね。


その組長が千葉真一でして(笑)、もう、笑ってしまうほどテカテカ、ギラギラです。

 

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テカテカすぎて笑ってしまいます(笑)。


要するに、西村晃の組内の内部抗争に、大阪のやくざが干渉してきているという構図です。


更にややこしい事に、松方弘樹の方にも大阪のやくざの組が協力すると言い始めています。

 

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大阪のやくざの協力を拒む松方弘樹


つまり、組の抗争はそのまま大阪の組間の抗争でもあるという、なんとも冷戦下のアジア、アフリカの内戦そのまんまなのですが、日本最大の暴力団である山口組は、そのようにして、全国にわたる巨大な組織を作る事に成功しました(その山口組が現在2つに分裂してしまいました)。

 

西村晃の若頭、ハナ肇が、これまでの実録モノの中ではちょっと異色の独特のトボけた味わいがあって、いいんですよ。

 

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ハナ肇西村晃の後を継ぐ事に。

 

というか、北陸という土地柄なのか、これまでの実録モノとはどこか違う粘っこい味わいが全体的にあります。


冬の抗争なので、福井の雪の多さも、かなり絵が変わりますよね。


松方は組長側のだまし討ちを受けて重症となり、死を偽装して、輪島に潜伏してケガの回復を待ってますが、そこからは見てのお楽しみという事で。

 

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バイオレンスシーンがかなりエゲツないです。


仁義なき戦い』シリーズとは一味違う、独特の暗さがある逸品。


主人公の松方弘樹は相方の伊吹吾郎とともにひたすら撹乱者として機能します。


敵味方が平然と何度もコロコロと変わっていくのも(実際のやくざはそういうものなのでしょう)、本作の見どころでしょう。


ちなみに、これは当時の北陸で起こっていた抗争をモデルにしていたそうで、本作公開後に松方弘樹のモデルとなったやくざは射殺されています。。


菅原文太が出演していないなどの致命的な問題もあり、実録やくざ映画の中でも、飛び切り興行成績が悪かったのだそうです。


こんな凄絶な作品なのに、90分で終わるのもすごいです。

 

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