DVDにて再見。
ようやく彼の代表作が容易に見ることができるようになりましたね。
エドワード・ヤンの撮り方はホントに独特ですね。
ものすごく突き放したような登場人物との距離感。
余白の多い画面構成。
室内がガランとしていて、生活感がない。
ひょんな事から登場人物がことごとく今の生活から転落していく様を、監督は黙って見てるんですね。
助けようとはしない。
この不幸の顛末を作ってしまう少女と少年は「台風の目」として何も起きません。
このどこか冷たくもある作風は、大作『牯嶺街少年殺人事件』で更に突き詰められ、VHSで見ると、登場人物が小さくて、判別するのに苦労するほど、カメラが寄りません(これは映画館で見る映画ですね)。
『旅芸人の記録』と双璧かもしれません。
本作はそこまで方法論的には突き詰めてはいないので、ココからエドワード・ヤンを見るのがいいでしょうね。
彼の映画はこういう大衆ウケする映画ではないので、興行的には同世代のホウ・シャオシェンと比べると、歴然の差があったようですね。
それはともかくとして、本作のもつ、それぞの登場人物の抱える孤独と空虚感や、見事としか言いようのない構成力は、唸らざるを得ません。
台湾にこれほどの才能がいたのか。と、心底驚きました。
単なる青春映画でもないし、サスペンスものでもない、しかも、クライマックスに向かって、様々な伏線がそれほど解決しているわけでもなく、ポンと見る側に放り出されるように終わってしまうとあう、その独特の立ち位置を楽しんでいただきたい。
見終わった後の、何とも知れない感覚ですよね、エドワード・ヤンの映画の醍醐味は。
切り取り方がまことに独特ですね。
写真、電話、そして、拳銃という小道具の使い方のうまさも光ります。