ウィリアム・フリードキン『真夜中のパーティ』
ハリウッド映画で、恐らくは真正面からゲイをテーマとした最初の映画。
あの大傑作『フレンチ・コネクション』の前年に公開されたのが本作というのが驚きですねえ。
70年代のフリードキンは、まさに絶頂期と言っていいでしょう。
あの、ザクザクと中華料理屋で白菜などを豪快に切っていくような心地よい編集がダイナミズムを与える監督が、オフブロードウェイで脚光を浴びた舞台の映画化をするというのは、どうなのかな?という杞憂がないわけでなかったのですが、実際見てみると、コレまたフリードキンの代表作といっても過言ではない素晴らしい出来映えなのでした。
ニューヨークのゲイ仲間が、夜に誕生パーティーを行うという、その一夜を描いたお話で、舞台のほとんどは、主人公のマイケルの自宅です。
マイケル。写真家で最近頭髪の後退が気になっている。
パーティーが行われる当日に、マイケルの大学時代の友人アランから電話が来ます。
アラン。彼の登場がこのドラマの重要な起点となります。
マイケルは友人たちとのパーティーで、キミの趣味には合わないから今度会おう。と言うのですが、アランは、電話口で突然泣き出して「頼むから会ってくれないか」と言い出すんですね。
コレはただ事ではないと思い、「じゃあ、今から来るといいよ」と言って電話を切ります。
しかし、再び電話が来ると、「さっきは取り乱してゴメン。明日会おう」といってきました。
結局、アランは来ない事となり、友人たちが集まってきて、パーティーが盛り上がってきたところで、アランが突然訪問してきます。
シュープリームズの曲に合わせてノリノリ!男の子たちがキャッキャしているところはいいものです。
ここから物語が動き始めるのですが、ここからは見ていただくのが一番よいでしょう。
中盤、主人公はちょっと引いたポジションになるんですが、そのタメが後半に爆発していく流れは、ホントに見事でした。
ハロルドの登場シーンが最高です(笑)。
もともとの原作が素晴らしいという事もあると思いますが、アクションやサスペンスを得意とするフリードキンは、やはり、人間ドラマをしっかりと撮ることができる確かな力量があったればこそ、あの骨太なアクション作品が撮れるんだなあという事を改めて認識しました。
ウィリアム・フリードキンの凄さをまたしても再認識させられました。
役者陣に関する知識がほぼゼロなのですが、とにかく、全員抜群にうまい。
アメリカの俳優は層が本当に分厚いですね。
1970年代の映画が好きな人には、たまらない、非常に優れた人間ドラマでした。