ある男の1週間を綴った、詩のような作品。

ジム・ジャームッシュ『パタソン』

 

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ニュージャーズィー州パタソン市に住んでいる、パタソン氏の1週間を描いた作品。


立川市に住んでる、立川さんみたいな感じでしょうね。


パタソンを演じているのが、アダム・「ドライヴァー」というのも、ギャグなのでしょう。


ジャームシュは、若い頃からミニマルな作風の人ですけども、本作はとりわけミニマルな作品です。


月曜日から日曜日までの一日一日を担当淡々と描いているんですが、朝のバスの出発前に詩を書き、そこにインド系の同僚のドニーが挨拶に来る、仕事中の乗客の会話、奥さんのローラとの会話、犬のマーヴィンとの散歩、その途中でバーへの寄り道といったシーンが繰り返し出て来ます。

 

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仕事の直前まで詩を書いている。


あと、なぜか、双子に出会います。

 

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しかし、それは全く同じではなくて、微妙に違っているんです。


大きな事件は何一つ起こらず、泣いたり叫んだりするシーンは全くありません。

 

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よく見ると、カイロ・レン。


7話のオムニバスを見ているようにも思えますが(ジャームッシュはオムニバス形式の作品が結構多いですよね)、時間経過は直線的でパタソンとその妻、愛犬、バーの店長ドクと店の常連は固定されています。

 

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少々トんだ感覚の奥さん、ローラ。

 

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ジャームッシュは犬派?


そういう意味では、コーヒーとタバコが出てくるオムニバス形式の『コーヒー&シガレット』よりも更にミニマルな作品ですね。

 

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こういう横並びの男女のショットが多いです。


お話として盛り上がってくるのは、金曜日からなのですが、そこは見てのお楽しみに。


会話の独特の間合いと場面のつなぎ方だけで2時間近い映画を成立させてしまう(しかも、ちゃんと観客を惹きつけるのです)という、余裕綽々たる、巨匠のお仕事ぶりなのでした。

 

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同時期に、イギー・ポップのドキュメンタリーを作って公開しているのも、とてもお茶目だと思います。

 


この辺からジャームッシュの世界に入って、80年代の作品を見てみるのもいいかもしれません。

 

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『ミストリー・トレイン』以来の出演となる、永瀬正敏が出てきます。