ジョス・ウェドン『アベンジャーズ』
第1作はまだ顔ぶれ少ないです。
はい。今頃になって第1作を見ました(笑)。
面白かったですね。
アメコミの事はあんまり詳しくないですけども、事実上の主人公と言ってよいアイアンマンは、実はマーヴェルのヒーローの中ではそんなに人気のあるキャラクターじゃなかったようで、当時、低迷しきっていたアメコミ原作の映画化でネタが尽きてしまった状態で残っていたのがアイアンマンだったのだそうです(マーヴェルの映画化権が、複数の映画会社にあった事が大きかったようです)。
しかも、アイアンマンを演じるロバート・ダウニーJr.は、実はその前はかなり役者として低迷していました。
要するにあんまりいい要素がない状態で始まったのが『アイアンマン』なのでありましたが、フタを開けたらコレが大ヒットしてしまい、ダウニーJr.はかつて以上の大スターになってしまいました。
ダウニーJr.の最大の当たり役となりました。
そんなアイアンマンに、トール(ソーという言い方はどうしても馴染めまないですね)、ハルク、キャプテン・アメリカという、マーヴェルのヒーローを加えた作品にしてしまおうという、なんというか、ビフテキ、刺身の盛り合わせ、天ぷら、うな重、ビーフストロガノフが一気にきたような塩梅です。
柳生十兵衛しているサミュエル・L・ジャクソン(悪役ではありません)。
が、実際、コレが一挙にテーブルに並んだだけでは、「いやいや、ごちそうだけども、食い合わせが悪すぎるよ!」と叫んでしまいますよね。
本作のうまい所は、それぞれのキャラクターの特性をうまく生かした脚本であると思います。
特に、アイアンマンとハルクの使い方が上手いんですよね。
「チョイ悪社長」であるアイアンマンが超真面目キャラのキャプテン・アメリカをからかったりする絡みやイザとなった時の連携がやはりよくできています。
そして、多分、アベンジャーズ最強であろうハルクは、タメてタメて、最後に大爆発させる!という活躍のさせ方ですよね。
ハルクは基本的にコントロールできないキャラクターですから、こういう活躍のさせ方以外できないわけですけども、こういう、エガちゃん的な時間的な活躍時間は少なくても、インパクトがハンパではないという使い方は、ベタですけども、ツボにハマります。
ホンの少しですが、ハリー・ディーン・スタントンが、ハルクことバナー博士と絡みます。
要するに、この映画は、気をてらった事はほとんどしていなくて、ある意味、基本的な事を慌てず騒がずにキチンと設計して作ったというところに勝因があったと思います。
悪役のロキ(トールの弟です)はちょっとちょっと弱いかな?本作のテーマはアベンジャーズの団結がメインではあります。
アクションの切れ味は、ジェイソン・ボーン・シリーズのキレキレほリアリティやイーサン・ハントのファンタジックを極め尽くした(実際の撮影は凄絶を極めているのでしょうけど)凄さから比べると、正直見劣りしますけども(敢えてそういうクオリティにして、より広い層にアピールしているのでしょう)、正義というものがそもそもどこにあるのか?というところでアベンジャーズたちが迷走し、そこにつけ込まれて壊滅的な打撃を受けてしまったりするという、単なる勧善懲悪になっていない作りなどは、非常に今日的です。
第2作目も早速見てみようと思います。