女の子というものをこれだけ自由奔放に撮りきった映画はないでしょう。

ヴェラ・ヒティロヴァ『ひなぎく

 

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名前すらはっきりしない2人の女の子が主人公です。

 

2人の女の子が主演なんですけども、とりたててストーリーはありません。

自由奔放な子猫ちゃんのように画面上で気ままに振る舞う様を写しているだけなんですが、画面が白黒から突然カラーになったり、コマ飛びしたり、多分にゴダールの影響がありますね。

 

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 唐突にこんな配色になったり、画面がコラージュになったり、ものすごく実験的なのにおしゃれで可愛らしいんです。

 

脚本というよりも監督の持っているイメージを巧みに編集してつないでいる感じで、現在見ると、いかに「おしゃれな映像」と言われているものの多くがこの映画を元ネタとしているのかという事がわかります。

 

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そういう意味でもはや本作は古典的名作の領域にありますが、コレが1966年の共産党政権下のチェコスロヴァキアで作られたというのはかなり強烈です。

この現在見ても相当奔放な本作は共産党に睨まれることとなり、本国では発禁処分を受け、ヒティロヴァ監督はしばらくの間、沈黙せざるを得なくなりました(ゴダールの「ジガ・ヴェルドフ集団」時代の映画には参加していますが)。

日本でも鈴木清順という天才の『殺しの烙印』という作品が日活の社長の逆鱗に触れてしまい、10年近く映画が撮れなくなってしまいましたが、この映画の公開と同じ頃というのも痛快です。

 

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ホントにシャンデリアに乗ってるんです。

 

話しのスジを追っていこうとアタマで考えるよりも、その奔放なイメージの奔流に身を委ねて遊ぶと楽しい映画だと思います。痛快。

 

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The End.