ロマン・ポランスキ『袋小路』
ポランスキが『反撥』に続いてイギリスで撮った映画。
昔、チラッとMXテレビで見た記憶があります。
映画音楽は、クシシュトフ・コメダ。
ポーランドを代表するジャズピアニストです。
冒頭、一体、どこかのかすら定かでない、極端に殺風景な場所が舞台で、時代も不明です(場所はイングランドのノーサンバーランドの島である事が次第にわかってきますが、そんな地名は、外国人にはほぼ意味不明ですから、現実感は乏しいです)。
ちなみに、こんな島。
ノーザンバーランドはこんな場所。
ある種の寓話として作られているのでしょう。
舞台は、海辺にある、とある金持ちの別荘。
なぜか、酒と卵ばかりあるのですが。
そこに迷い込んだ腕をケガをした男、ディッキー。
なぜ、ケガをしているのかは、わかりません。
負傷した相棒は置き去り(結局、後に死んでしまいます)
デビュー作『水の中のナイフ』も、お金持ちのヨットのシーンが映画の大半を占める密室感の強い映画でした。
ここでも、金持ちのとりとめのない遊戯をしている2人と、何かトラブルを抱え、負傷している2人。
彼ら彼女らだけでしばらくドラマは進みます。
応援の電話を入れながらも、なかなか来ない状況に、グイグイ押しかけてくる、城の持ち主の知り合い一家。
近くの別荘に住んでいる男までやってきて、ドンドン面倒くさくなっていくのが面白いですね。
潮の関係で、閉じ込められてしまうような構造の場所で起こる人間関係のおかしさや怖さを描く、非常にユニークな作品。
敢えて間延びした作りにしてますから、後半が見どころです。
ドナルド・プレザンスの壊れっぷりをご堪能ください。
ドナルド・プレザンス。『荒野の千鳥足』でもいい役やってましたね。