セルジオ・レオーネ『Once Upon A Time in America』補論
この、ただコーヒーを飲むだけのシーンがヌードルスの凄みを表現してますね。
実は、完全版を見た後に、更に20分ほどのレオーネが泣く泣くカットしたシーンを補った、ホントの完全版がある事を知りまして、コレはどうしても見たくなり、ワザワザ、ブルーレイをアメリカ版の買いました。
ブルーレイでは日本はアメリカと同じリージョンAになりますので、見るのに問題ないんです。
で、見ましたよ。4時間10分です。『旅芸人の記録』よりも長いのです(笑)。
コレも名シーンですね。
結論から言えば、レオーネの言いたい事は、さすがに本人の納得して行った編集の現行版で言い切っていると思いました。
ヌードルスがトイレで読んでいた小説は、ジャック・ロンドン『マーティン・イーデン』でした。自由な放浪者に憧れている事を暗示してますよね。
が、補われたシーンはかなり重要でしたね、やはり。
もう古典的名作になるとは言え、このシーンに関しては具体的には言わない方が良いでしょうね。
前回、ジミー・オダネルの存在を意図的にぼやかしている。と書きましたが、レオーネはそうするつもりはなかった事がわかりました。
コレは言ってもいいと思いますが、大女優になったデボラの女優として活躍するシーンがもともとあったのはとてもよかったです。
総じて、ジミー・オダネル絡みとデボラとの関係がより丁寧に語られるようにレオーネはもともと作っていた事がわかりました。
ラストの謎めいたシーンの伏線が意外な場所に出てきますが、コレは言えません(笑)。
この復元は残念なことに、フィルムの劣化が著しく、復元しても相当良くないです。
ですので、この作品見たことない方は、まずは普通に見られる「完全版」をご覧になった方がいいでしょう。
それから見てもこの復元バージョンは十分だと思います。
より復元技術が向上し、現行版とほとんど遜色なくなったら、それが真の完全版と呼ばれるようになるでしょう。