ジョン・マクノートン『ヘンリー』
「あー、なんだか疲れたなあ」
の後に、普通は「飲みに行く」とか「バッティングセンターに行く」「サウナに入る」「ジムに通う」などなどが入るわけですよね。
しかし、本作の主人公であるヘンリーさんは、「殺人」が入るんです。
なぜそうなってしまったのか。は、一切明らかにされませんし、ヘンリーの無差別な殺人には、どういう意味があるのか、わからんのです。
そうやって、300人以上の、何の脈絡もない人々を移動しながら次々と殺していったヘンリーの、シカゴでの数日間を切り取ったというものであり、まあ、いって仕舞えば、彼の日常を見せたという事なんですよね。
ヘンリーを演じるマイケル・ルーカーはこの演技て名声を得ました。
この作品のコワさは、肝心なところを敢えて見せないんです。
見えないからこそコワいんですよね。
また、見せているシーンがものすごくエゲつない。
ある一家を皆殺しにするシーンが出てくるんですけども、その見せ方のエゲツなさ。観客と2人のシリアルキラー(実はコンビを組んで無差別に殺人を行ってます)が同じ視点で見てるんですよ?という実にエゲつない演出!
観客が共犯者にさせされるという、このイヤな感触は、本作でも白眉ですね。
シメが最高に後味が悪い、B級映画の傑作でありました。
こちらが実際のヘンリー・リー・ルーカスです。車で移動しながら無差別に殺人を繰り返しました。