ゾンビ映画はアイディアの源泉だなあ。と改めて痛感させられた傑作!

上田慎一郎カメラを止めるな!

 

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東京都心部は連日こんな感じらしいです


当初はたったの2館しか上映していなかったのですが、連日満席となり、とうとう、現在は全国100館を超える上映となってしまった作品。


本作は、実際見ることによってビックリドッキリという、言ってしまうと、ヒッチコック『サイコ』のようなところがあるので、あまり内容に立ち入ることは極力控えようと思います。

 

といいますが、本作は何の予備知識も持たずに見るのが一番良いと思いますので、明日にでも映画館に観にいく方は、この文章は見終わってから読んでください(笑)。


「うわ、今までのは映画だったんだ」という冒頭を映画史的に最初期に成功させたのは、恐らくは、オーソン・ウェルズ市民ケーン』だと思いますが、本作もゾンビ映画という形で、それを成し遂げます。


しかも、手持ちキャメラ1つで延々と30分です(ココをバラしても、驚きが減衰する事はない事を保証します)。

 

かつて、相米慎二という、撮影現場が地獄のような映画監督がいましたが、その彼でもやならかった30分ワンショットというのは、映画史上でもこれに匹敵するものはないでしょうね。

 

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主人公の監督が作品内のドラマで怪演。なぜ思い切りキャメラ目線なのかは見てのお楽しみ。


本作はかなりの低予算映画ですが、それすらもを逆手にとって展開していく後半が(低予算でアクシデントだらけである事が生きてくるんですね)、なぜ、こんな激越な手法を使ってのゾンビ映画になっているのかを明るみにしていくここからは、ホントに笑えますし、ラストシーンは、なんと、感動すら湧き上がってきます。驚くべきことに。

 

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一切説明なし!


まさかのスポ根とゾンビ映画の融合。という、それぞれに鉄壁の安定感のあるフォーマットを組み合わせるという意外性が、こんな形で転がっていくのか。という事の快感が見事としか言いようがありませんね。


ジョージ・A・ロメロに生前是非とも見てもらいたかった近年稀に見る痛快作。

 

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前半と後半でガラッと同じシーンの意味が変わります。