今見たら、また違う見方がありそうです。

ミケランジェロ・アントニオーニ砂丘

 

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今見てもカッコいいタイトル。

 

なんと、アントニオーニがサイケデリックの世界に。

サントラに、ピンク・フロイドやグレートフル・デッドと言った、気鋭のロックミュージシャンを起用し、学生運動サイケデリックの世界を描くという、またしても挑戦的な、初のアメリカ進出作品。

前作『欲望』は、イギリス映画でしたが、それにしても、感性が若いですよね。

いきなり、大学生たちの集会から始まります。

 

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時代を感じますねえ。 時代の風俗を取り入れる才能がずば抜けている監督です。

 

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本気で革命という事を考えていた時代です。

ヴェトナム戦争はドロ沼化し、学生たちは反戦運動を起こし始めています。

日本の学生運動もこの動きに連動していたんですね。

 

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政治的な議論にはウンザリしているマーク。

 

主人公マークはいわゆるノンポリで、政治的な議論や運動にはそれほど興味はなかったようですが、友人を拘置所から保釈しようとしたら、逆に逮捕された事に恨みを持ち、銃を手に入れ、大学に警察が突入した際に、警官を撃ってしまいます。

 

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この、ジョン・カーペンターを思わせる撮り方がイイ!

 

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ロス市警は、学生運動に介入!

 

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外国人として、クールにアメリカの激動を写してます。

 

こうして、ロサンジェレスから逃亡せざるを得なくなってしまうのですが、逃亡の途中で偶然にもカギのかかっていないセスナ機を見つけるんですね。

 

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マークはセスナ機を運転することができ、これを盗んで、飛び立ってしまいます。

さて。

もう一方の主人公ダリアは、ロサンジェレスの郊外、といっても、何にもない砂漠みたいなところに住宅地を作ろうとしている会社の社長の秘書をやっている女性です。

 

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SF感満点な会社。

 

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郊外の人々の大企業による強引な開発を批判を聞くダリア(実は大事な伏線です)。

 

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 こういうストーリーに全く関係ない絵がとてもよいです。

 

 

仕事で車でフェニックスに向かう途中です。

このセスナ機と車が偶然出会うんですね。

男女は程よく仲良くなり。。というところまでは、一応普通にストーリーは展開するんですが、ここから先は『欲望』よりもすごいです。

登場人物は2人だけになって、周りは何もない渓谷(デス・ヴァレーですね)です。

 

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原題の「ザブリスキー点」は、デス・ヴァレーに実在します。

 

アントニオーニの映画は、どこかSF的な映像ですけども、その極致と言ってよいでしょうね。

勅使河原宏砂の女』と双璧と言ってよいでしょう。

 

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こんなです(笑)。『トータルリコール』ですね。

 

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セスナ機も、エリック・クラプトンのクリーム時代のギターのようになってしまいました。

 

描いている内容は全然違うのですが。

特にドラックについての具体的な描写はありませんけども、明らかにそれを匂わせるシーンがあります。

1912年生まれのアントニオーニは、ゴダールよりも更に年齢が上であり、世代的には、ヴィスコンティとほぼ同年代ですが、そんな彼がコレほどまでに60年代のサイケデリックな世界を見事に描いているというの(ヴィスコンティは『家族の肖像』でうまくはできてません)は、全くもって脱帽です。

圧巻のラストシーンを是非ともご覧ください。

 

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 梶井基次郎もビックリです!

 

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