ジョン・スタージェス『The Magnificent Seven』
白浪七人男、揃い踏み!
『荒野の七人』という邦題はちょっと今ひとつだなあ。
『誇り高き七人』という直訳で充分カッコよくないですか?
スタージェス、マクイン、バーンスタインという鉄壁の3人によるアメリカアクション映画の古典。
こういうおおらかなスケールで描かれるアクション映画の最末期でもありますね。
以後、マクインは『ブリット』でリアリズムをトコトン追求していく事になります。
メキシコのとある村に、やってきた山賊たち。
次の収穫期に、農作物をよこせという。
とんでもない事になってしまった!
長老は断固戦うべし!
村人3人がテクサスにやって来て、銃を手に入れにやって来ます。
原作である黒澤明『七人の侍』では、ここだけでものすごい時間をかけるのですが、このリメイク版はサクサク進みまして、ものの10分もしたらもうユル・ブリンナーとスティーヴ・マクインが出てきます。
『七人の侍』は、サムライたちが揃うだけで100分くらいかかってまうので、3時間半の超大作になってしまうのですが、ハリウッドはその辺をアッサリとカットしてしまうんですね。
こういう感覚が、黒澤明とハリウッドが全く合わないです。
それにしても、このほどほどの面白さとテンションを維持するスタージェス監督の塩梅が素晴らしいですね。
ユル・ブリンナー、スティーヴ・マクイン、ジェイムズ・コウバーン、チャールズ・ブロンソンと、どれもこれも惚れ惚れするような男しか出てきませんね。
まさに、男祭り(笑)!
稲葉義男、加東大介の役を務める、マクイーン。『大脱走』で更に大活躍です。
宮口精二の役を務める、ジェイムス・コウバーン。ナイフの使い手です。
千秋実の役を務める、マンダム前のブロンソン。
しかし、原作の黒澤作品と違うところもあるんですね。
もう古典作品なのでネタバレさせますが、農民たちが裏切ってしまいます。
『七人の侍』でも、実は牢人たちは農民たちに疎んじられている事がところどころ描かれており、あのラストシーンは、用が終わったら、厄介者なので出て行ってもらいたい事を表現しているわけですが、本作では、露骨に山賊に寝返ってしまうんです。
農民たちにとって、ユル・ブリナーたちもまた外国人であり、厄介者でしかないんですね。
銃を奪われ、村の外へ全員追放されました。
要するに、山賊と農民は実は共存関係だったたんですね。
しかし、ユル・ブリナーたちは、農民たちを救うために村を襲撃して、山賊一味を倒してしまいます。
チラッと映りますが、山賊たちを寄ってたかって農具でみな殺しにするのですが、コレが1番コワいシーンでした。
『七人の侍』では、野武士40人を数回の戦闘でジワリジワリと残りの13人を村の中に入れてみな殺しにするという過程をタップリと時間をとって、凄絶に描くんですけども、こちらはメインの戦闘二回でサクッとカタをつけてしまうところがハリウッドの流儀です。
山賊の頭目があんまり強そうじゃないところもよくできてます。
黒澤のものすごい執念は敬服に値するしますが、このカラッとしたアクションも私はキライではないです。
こういう男の子たちがグループを作って団結して1つの目標に向かっていく映画。というのは、たくさんあって、ハズレが少ないんですけども、本作もまたとてもよくできた、まだ、ハリウッドの栄光が生きている頃の、男の子だったら絶対に楽しい事この上ない映画です。
エルマー・バーンスタイン作曲のテーマ曲は、映画史に残る名作。