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うまいなあ、これも。

エリック・ロメールモード家の一夜


「6つの教訓話」の第3話。

タイトルに「一夜」とありますが、一夜のお話ではないです(笑)。

その一夜が重要ではあるんですが。

タイヤ会社に勤めるジャン=ルイ・トランティニャン

 

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久しぶりに哲学を大学で教えている友人ヴィダルと会います。

トランティニャンが読んでる本から推測するに、論理学とか数学が好きなようですが、友人とパスカルの『パンセ』について議論してます。

パスカルの「賭け」について、すなわち、確実性の問題なのですが、この問題は突き詰めるとキリスト教社会ではなかなかエグい事になりますので、ほどほどになってます。

そして、ヴァイオリンのリサイタル。

インテリの典型的な生活が映ります。

『獅子座』の頃とは明らかに題材も変わっていますね。

インテリたちの節度を持った会話がお話しの中心になっています。

 

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哲学教授のヴィダルと医師のモード

 

後の作風はこの辺で確立したと見て良いでしょうね。

パスカルの「賭け」についての議論から、いつも間にか会話が女性についてスライドしていく巧みさ。

後の作品と違うのは、ホントに3人のインテリの会話だけでかなりの部分が展開していくのが異色です。

途中でトランティニャンの哲学写者は帰ってしまい、トランティニャンと無神論者のモードという女性(離婚しています)だけに。

 

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 ダンダンと際どくなっていきますが。

 

男と女の恋愛をこれほどまでにキレイに見せる監督はなかなかいなかったですね。

優柔不断なトランティニャンが素晴らしい。

雪景色を映すネストール・アルメンドルスのキャメラの美しさも特筆すべきでしょう。

 

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ラストがリアルです(笑)。

ヌーヴェルヴァーグ出身の監督としては少し出遅れましたが、ようやく自分の作風をモノにできた真のロメール誕生の作品。

 

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 突然、5年後になります。