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修羅雪、警察と戦う!

藤田敏八修羅雪姫 怨み恋歌』

 

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なんと、続編が作られたんですね。

冒頭の移動撮影によるワンショットで撮られたアクションシーンからしてもうすごいですね。

とにかく、藤田演出はアイデアが独創的です。

単なるヴァイオレンス映画にはなりませんね。

日露戦争後の日本が舞台ですから、明治時代の末期で刺客をやっているという無茶な設定がすごいですが、梶芽衣子演じる鹿島雪は、すでに警察に追われる生活になってしまい、明治39年、とうとう逮捕、投獄されます(設定上、30歳代になってるんですね)。

 

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死刑執行の日、護送中に雪の乗る馬車は襲撃され、彼女は拉致されます。

 

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謎の紳士(?)が、伊丹十三演ずる無政府主義者(というより、ほとんどエロおやじですが。。)の監視役として雪を利用する事となり、女中として雇われる事となりました。

 

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無政府主義者伊丹十三

 

そういえば、藤田敏八は、鈴木清順の大傑作、『ツィゴイネルワイゼン』で主役の独文学者を演じており、この明治大正期の浪漫主義的な世界を清純監督とともに愛しているようですね。

本作では、藤田が演じた役割が伊丹十三になっていて(彼も後に映画監督になり、藤田と経歴がちょうど逆さまになります)、『ツィゴイネルワイゼン』では、学者の同僚を演じていた原田芳雄も本作に出ています。

 

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 『ツィゴイネルワイゼン』での藤田敏八原田芳雄

 

妙に『ツィゴイネルワイゼン』を思い出させる作品です。

映像を見ていると、清純と藤田の美学はどこかで共振するところがありますね。

それは、ともに日活の監督であった。という事以上のものを感じます。

本作の歴史的な背景として1番大きいのは日露戦争なのですが、直接的にはハッキリとは言ってませんが、大逆事件です。

大逆事件で死刑となった同士たちの墓参りに雪とともに伊丹がいくシーンがあるのですが、ここで雪の正体はバレてしまい、彼女の雇い主が特別高等警察である事もわかります。

 

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 コレがラスボス。完全にショッカーの幹部です。

 

伊丹は政府の極秘書類を持っています。

ある職工が貧しさの余り、神楽坂の交番に爆弾を放り込んで逮捕されました。

しかし、特別高等警察はこれを利用して、社会主義者、無政府主義者天皇を暗殺しようとしていた。という話にしてしまい、彼らを一斉に検挙し、裁判で全員死刑にしてしまいました。

伊丹はたまたま病気療養中であったため、検挙を免れたのですが、特高の監視が常にある生活です。

この、明らかに大逆事件を思わせる事件をでっち上げて出世したのが雪の雇い主であり、司法大臣というわけです。

機密文書とは、この事件がでっち上げである事を立証するものなのですね。

伊丹はこれを集会で公開しようとしますが、警察に逮捕され、雪も警察に銃で撃たれながら彼の弟で医師である、原田芳雄のもとを訪れます。

伊丹は拷問を受け、ペスト菌を注射されて放り投げられ、これがもとで死亡し、逆上した伊丹の妻(実は原田の元妻でした)が警察を襲撃して逆に斬殺。

 

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 すげえ絵だなあ。。

 

と、前作をはるかに超えるヴォルテージの作品なのですが、残念ながら、これ以降、続編は作られませんでした。

 

藤田監督のやりたい放題の演出と、要所要所に配置されたキラリと光る反骨と知性のバランスが見事な作品です。

この2作を見た後に、鈴木清順ツィゴイネルワイゼン』やクエンティン・タランティーノキル・ビル』vol.1,2を見ると更に面白いですよ!

 

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 悪党は許さない!

 

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