ジョン・ワッツ『コップカー』
なんとも冴えないタイトルですが、コレが面白かったなあ。
男の子2人のアホさ。
太古の昔より、男の子はアホだなあ(笑)。
見つけちゃった。
たまたま見つけてしまったパトカー(アメリカではコップカーというのね)。
ドアは開いてるわ、カギはあるわ。
そりゃ、アホな2人は動かしますよね。アホだもん(笑)。
この、一体どこだかもわかんない何にもない大平原でコップカーが大珍走ですよ。
しかし、このコップカーに乗っていたのが、ケヴィ・ベイコン扮する極悪保安官であったのが、この2人の少年の悲劇の始まりなのでした。
珍走中!
なんで、こんな何にもないところに突然コップカーがあるのか?
死体を運んでいるんですね。
淡々と運んでるのとか、死体からスニーカーが片方脱げているところがとてもリアルですね。
ちゃんと死体に石灰撒いてるところとか、保安官なだけによく知っているというか。
完全犯罪成功かと思われたところに、バカ2人。という全くの不確定要素が入ってきて、コレが破綻するんですね。
バカコンビはとうとう公道に出て爆走を始めます。
オートマであるということと、本当に周囲10kmに誰も人がいないようなところが普通にあるアメリカだからこそ起こり得る事ですよ。
日本はどこに行ったって人がいますし、誰もいない大平原などアンマリないですから。
コップカーには、「quinlan county」と書いてありまして、どこなのかのかな?とググってみますと、テクサス州にキンランと言うところがありますね。
テクサス州はめちゃくちゃデカイので(先代の米国大統領は、ここの州知事でした)、そりゃ、人口密度はスカスカです(笑)。
フレディ・マーキュリーとマクレーン刑事が合わさったような風貌になってこの暴走コップカーを必死こいて探すケヴィン・ベイコンのマヌケさと怖さが同居した演技は素晴らしいですね。
完全犯罪は成功するかに見えたが。。
バカコンビが公道を爆走するのを目撃おばちゃんがとうとう警察に通報しました。
このおばちゃんも重要キャラです。
まだ、ベイコンのコップカーが盗まれた事はバレてません(そこが抜け目ないんですね)。
コップカーの無線のチャンネルを変えさせて自分の車の無線から盗んだバカコンビに呼びかけてから、事が動き始めます。
なんと、クルマには1人半殺しの目にあって縛られているおっさんが乗っていました。
このおっさんは、おバカな2人がたまたまコップカーを盗んだものだから、助かったんですね。
どうも、ケヴィ・ベイコンは、保安官という役職を悪用して、コカインの売買をして悪どく金儲けをしている男でそっちのビジネスでヘマをした2人を処刑しようとして、1人だけ埋めた段階でコップカーを盗まれてしまったという事だったんですね。
この死にそうなおっさんの手足の拘束を外してしまったところからは、もうなんも言えませんね(笑)。
言っちゃうと、もう台無しです。
こんなに少ない登場人物でよくも間延びしないでサスペンスが持つなあ。という所にほとほと感心するのと、とても怖い話しのハズなのに、どこか間が抜けていて、トボけた味わいがあるのがうまいですよね。
子供達が、コップカーの装備品、ショットガンやマシンガン(テクサス州の保安官ってそんなもんまで装備にあるのか。と唖然としますが。。)、心臓マッサージ器、拳銃、防弾チョッキで遊んでるシーンは、無邪気ゆえにとても怖いですね。
こういう何気ない描写にこの監督の巧さが光ります。
それでしてもまだまだ映画の可能性っていくらでもあるんですね。
やっぱり、脚本なんですね、映画は。
そういえば、私が初めて見たケヴィン・ベーコンが出演した映画って『トレマーズ』というB級映画で、地面の振動に反応する正体不明の怪物に襲われる映画だったんですよ。
何かの映画と同時上映していて、しょうがなく見たんですけども、コレが意外に拾い物で面白かったんですね。
本作もそれに似たところがありますよ。
『スタンド・バイ・ミー』以来の、少年が成長を遂げるという見事な映画でした。
たったの90分にも満たないというのも、素晴らしいです。
エンターテイメントはこれくらいの長さがちょうどいいです。