ホン・サンス『教授とわたし、そして映画』
またしても映画学科でのお話し。
同じ映画学科が舞台なのに、主役が変わったり、配役が微妙に違ったりしてしまいます。
映画監督のジング、ソン教授、オッキそれぞれの視点で映画は進み、映画は、
「呪文を唱える日」
「キング・オブ・キス」
「大雪の後に」
「オッキの映画」
というエピソードに分かれていて、その転換に、なぜか、エルガー「威風堂々」が使われます。
この「威風堂々」はやたらと映画に使われていると思いますが(『時計じかけのオレンジ』がすうですね)、どの映画に使われているのか?というだけで一本論文書けそうです。
ホン・サンスのサントラの使い方はとてもおかしい(笑)。
ホン・サンスはエピソードを変奏させて、重層化させていくのが得意ですが、この映画がドンドン過去に遡っていくことで、なぜ、最初のエピソードで、ジングが「映画を撮れない映画監督」になってしまうのか?を解明していきます。
映画を見ていると、最初のエピソードが余りにも唐突でポカンとさせられますが、「大雪の後で」になってくると、そういう事ね!
と、気づいてきます。
要するに、話が進むごとにドンドン過去に向かっていくという構造をもっています。
とても不思議ですね。
ホン監督は、ある時点から、映画というものの枠組みを自分の中で設定して、それを組み立てたり、作り直したり、別な組み合わせにしたりする事を自分の映画制作として決めていったフシがありますね。
なので、起用する役者陣がかなり固定されていて、シチュエーションなどもかなり似通っている気がします。
なので、現在の監督としては、かなり早いペースで映画を撮ってしまう人です。
上映時間もだいたい80分くらいの映画に固定しますね。
また、勝手な推測ですが、撮影はそんなに時間をかけていない気がします。映像へのこだわりは比較的薄いですね。
オッキという女性を巡っての恋愛ドラマ。と言ってしまえば、それまでですが、「大雪の後に」辺りからダンダンとその事がわかってくるんですね。
相変わらず、脚本が抜群にうまい。
タランティーノもびっくりですね。
ここでの教室での主演3人の人生と映画をめぐる会話は、ロメールっぽいですね。
ホン監督の人生観が結構端的に出ているような気がします。
しかし、驚愕は最後の「オッキの映画」!
何がビックリですと?
それは言えません(笑)。
そんなのアリか!というブニュエルもびっくりな手法が出てきますよ!
おたのしみに!!