ホン・サンス『ヘウォンの恋愛日記』
タイトルに「恋愛日記」とあるように、主人公ヘウォンの日記という体裁をとります。
冒頭が「母がカナダに移住してしまい、もう韓国には戻ってこない」というヘウォンの独言から始まる辺りからして、ものすごいです。
ヘウォン自身もイギリス生活をしていたので、英語が堪能です。
韓国でこういう人がどれくらいいるのか全く想像できませんが、まあ、エリート層なのでしょうね。
アラッ、特に説明してませんけども、ジェーン・バーキンが出演してますね。本人として。
ヘウォンは、大学で演技を勉強しています。
それにしても、いつも思いますけども、アレだけ巧妙に脚本を作っているにもかかわらず、役者の演技がそれにがんじがらめな印象を全く受けませんね。
ヘウォンの恋人は、『ソニはご機嫌ななめ』の、これまたソニの元恋人役のイ・ソンギョンですね。映画監督で大学教授です。
つまり、教授は学生に手を出した。という、文章にしてしまうとなかなかろくでもない構図になっております(笑)。
教授には、奥さんも子供もいます。
しかも、ヘウォンは同じゼミ生のジェホンと現在付き合っていて、なかなかです。
これまで見てきたホン・サンスの作品では珍しく、韓国社会の経済的な格差がほのめかされます。
ヘウォンは前述したように、明らかに家族が裕福です。
が、それを話している学生と生徒とて、貧乏であるはずはないのですが。
なぜか、日記のどの日にも、同じ古本屋さんが。
こういう繰り返しがもう名人芸になってきてますよね。
居酒屋や喫茶店などでおしゃべりをするシーンが必ず出てくるところもとても小津映画っぽいです。
たまたま古本屋カフェ(?)で知り合った男がマーティン・スコシージと仕事をしているとかは、ぶっ飛んでいるというか、ギャグっぽいですが、こういう遊び心がありますね。
私個人が一番グッときたのは、年上の不倫のエピソードですね。
2度目の南漢山城を訪れるシーンです。
ちなみに、こんな場所です。
なんと、世界遺産!
ホン・サンスの映画は、恋愛が結構出てくる割にはあんまりエロくなかったのですが、ここでの場面はちょっとドキッとします。
女優さんがいいですねえ。
ラストはヤラレタ!!