イエジー・スコリモフスキ『アンナと過ごした4日間』
変態のお話しです(笑)。
看護師をしている近所の女性の家に忍び込んで、お茶に睡眠薬を巧妙に混ぜて完全に寝ていることを確認してから家に再侵入して、物色するというね(笑)。
こんな映画を撮るのは、あとは、デイヴィッド・クローネンバーグくらいなものだと思いますが。
普通の意味のキモいとかコワいが振り切れているところが、スコリモフスキのすごいところです。
まあ、それを言ったら、ヒッチコックだってギリギリなワケですが。
ほとんど主人公の一人芝居なのは、次回作『エッセンシャル・キリング』と同じです。
基本的に何を考えてこうなっているのかは、主人公の言動からは一切わかりません。
そこがうまいですね。
人間というものをそんなカンタン理解することなどできはしないのだ。という、スコリモフスキの視点は大変明確です。
この主人公、看護師の女性がレイプされるのを偶然目撃してしまい、コレを通報したら容疑者として逮捕されて、有罪になってしまうのですが、取り調べをしている刑事の姿はほとんど映さず、主人公の方にひたすらカメラが向いてますね。
冴えない中年を演じている俳優さん、うまいですねえ。
ドッヒャー、おもしれえ!みたいな映画はスコリモフスキには、ないんですけども、この、ジワジワとくる感じにグッとくる方には、たまらないものがあります。
行動はダンダン大胆になっていき(どこか、Mr.ビーンではあるが・笑)、とうとう婚約指輪を部屋に置いたりなんかして(笑)。
リンチだともっと病的なところに行きますが、スコリモフスキは淡々と変態中年をやや悲しいユーモアで撮っているところが独特ですね。
さ、そんなおっさんがどうなってしまうのかは、乞うご期待。
アレッ?と思うはず。
ほぼ、一人芝居であるのがココで生きるんですね。やられましたなあ。
今までの出来事はなんだったの?という。
全部妄想なのか、どこかからが妄想なのかすら判然としなくて、コワイですね。
そもそも、レイプしたのは、このオッサンなのか?
ポーランドの話なのに、まるで日本で起きた話みたいな妙なリアリティがあるのが笑えないす。。