ルビッチュの初カラー作品。
日本での公開はなんと、1990年になってから。
何といううまさ。余りにもうまいので驚いてしまう。
地獄に行くのか否かの審査を受けている男が人生を回顧する。という、『トムとジェリー』のアニメみたいな内容の映画を、見事なまでのセリフ回しと、トコトンまで洗練しつくした演習で見せる。
パッと見て、アメリカ映画と思えないようなセリフ回しで、しかし、音楽は、思いっきりハリウッド調のなので、一体、どこの国の映画なのか、わからなくなってしまいますね。
ハリウッドは、ルビッチュだけでなく、多くの外国人を呼び寄せて映画を作っていたので、実は、思った以上に多国籍な状態で映画を作っていたのですが、それにしてもルビッチュの芸風は、飛び抜けていますね。
まるで、リヒャルト・シュトラウスのオペラでも見ているかのようです。
しかしまあ、画面の色使いがすごくですね、「総天然色」という言葉がぴったりな発色ですね。
セリフは極端に洗練されてるのに、映画の色彩はかなり金ピカで、ルビッチュは敢えてそのギャップを楽しんでいるかのようです。
洗練されたニューヨークに対する、ちょっと野卑なカンザスの対比がこれまたおかしい。
こんなにキレイな映画ってあるでしょうかね。
筋書き自体はありきたりなのにわまったく陳腐にならず、ココまで楽しませてしまうルビッチュの力量は、並外れていますね。
筋書きはシンプルにして、ディテールにトコトンこだわる。
さあ、このちょいワルおやじは地獄へ堕ちるのでしょうか?
それは本編をご覧になってご確認を。