ベルイマンというと、『第七の封印』や『野いちご』と言った、結構厳しい映画を撮る監督ですが、この若い頃に撮られた本作は、特に、前半のキャメラワークが随分と若々しく動きまくり、ちょっとアメリカ映画にかぶれているような構図も散見されて、ベルイマンも若い頃は結構アクティブだったんだと改めてわかりますね。
バレスリーナとして成功した女性の若い頃の回想が、お話の本筋なのですが、ここが何と言っても面白く、そして、だんだんベルイマンの恐さが出てくるところなので、ナイショです。
こんな可愛らしい、青春シーンをベルイマンが!と驚きますよ。
しかし、やはり、ベルイマン。
この映画のテーマは、『野いちご』と同じ老いと人生。
オイオイ、まだ主人公、そんなに年取ってないだろ!という気もしますし、ちょっと理屈っぽく説明しちゃうところが、若さを感じますが、メフィストフェレス的なキャラクターの造形がもう出来ていて、ベルイマンは一貫して孤独や絶望に打ちひしがれる人物を描こうとしているのだなあ。と、思いました。
一見、ハッピーエンドに見えますが、このお話の合間に唐突に出てくる、
「臭いな」
が、実はこのお話の一番深いところにある伏線なのではないでしょうか。
その「臭いにおい」とは、恐らくは死臭でしょう。
死神と思しき人物もチャンと出てきてますよね。
そういう、生と死の対比を描いてるんですけども、『野いちご』ほどトコトン容赦なく描いてはおらず、それほど効果的じゃないですね。
しかし、回想シーンの瑞々しさが、いろんなマイナスを補って余りあるのです。
なんと、アニメーションすら出てきます。
すでにTSUTAYAでも旧作になっておりますので、是非とも。