この異様なまでのエナジー!!

岡本喜八ダイナマイトどんどん

 

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アメリカにロバート・アルドリッチがいるが、わが日本には岡本喜八がいる!
 
出だしの菅原文太たちの暴れっぷりを見てくださいよ!
 
胸がスッとしますよね。
 
これが映画ってモンです。
 
昭和25年。
 
未だGHQが日本を占領統治している日本のディープ・サウスである小倉で、ヤクザの抗争がヒャッハーに達している事に、警察(事実上機能していない)及びMP(こちらも手に負えず)がアタマを悩ませている中、北九州の親分衆を集めて、「民主的」な抗争を行うことしたんですね。
 
それが、野球トーナメント戦であります。
 
野球のルール=仁義(笑)を守っての出入りとなるのですが、てんで野球のレベルはお話にならず(笑)。
 
そこに、フランキー堺演じる、元東京セネターズの投手(アルドリッチだと、リー・マーヴィンとかがやりそうです)が監督となり、チームをシゴクのです。
 
もう、とにかくいちいちおかしくて、ずっと躁病状態の映画です。
 
岡源組の組長を演じるアラカンが「任侠〜!!」と絶叫するおかしさ。
 
対する橋伝組の組長演じる金子信雄のギトギトの金満親分ぶり。
 
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岸田森金子信雄とキャスティングが素晴らしいですね。
 
宮下順子のエロさが尋常でない!
 
岡本喜八は女優を使うのが苦手といわれますが、そんなことはないのでは。
 
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菅原文太がすぐにキレて暴れる、手のつけられないパンク野郎ぶりを見事に演じておりますね。
 
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仁義なき戦い』と『トラック野郎』を融合したような、いわば、これまでの菅原文太の集大成的なキャラクターを演じています。
 
北大路欣也のメイクが濃すぎて笑えますね(笑)
 
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仁義なき戦い広島死闘編』で事実上の主人公を演じた北大路欣也をライバルとしたところがミソです。それにしてもドーラン塗りすぎです(笑)
 
新宿二丁目の人たち寄りなのでしょうか。
 
この映画のやはり見所は、極道の方々が大集結して行われる野球大会ですが、スコアボードのウラでは、試合の結果でギャンブルが成立(笑)。
 
田中邦衛演ずるアル中ピッチャーのアナーキーな凄みとその崩壊具合ぶりが素晴らしいですねえ。
 
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田中邦衛の怪演は全体の白眉ですね。このピッチャーもまた戦争の犠牲者です。
 
 
なんつっても、お互いの縄張りをかけた、決勝戦の岡源ダイナマイツ対橋伝カンニバルズ(爆弾対人食い・笑)の一大決戦ですね。
 
ヤクザ同士がシマを巡って野球してるわけですから、必然的に殴り合いになっていき、主審のアタマに豪速球投げて退場されたり、挙句の果てにMPが威嚇発砲までする始末(笑)。
 
パンパンの応援団もおっぱい丸出し(笑)!
 
アルドリッチの傑作スポ根映画『ザ・ロンゲスト・ヤード』でも、こんなシーンはないです。。
 
試合は文太さんが大ホームランを打った直後にバットでお互いに殴り合い(試合はダイナマイツがまだ負けてます・笑)。
 
宮崎駿の『カリオストロの城』の大混乱そのもの!
 
佐藤勝のジャズを基調としたサントラも絶好調! 再発希望!!
 
パンパンの歌う応援歌がすごいのなんのって(笑)。
 
ハンパじゃないグルーヴがありますよ。
 
言っときますが、この頃の日本の映画産業は惨憺たる状態でございます。
 
岡本喜八ですら、とっくに東宝にはいられなくなっているほどです。
 
それでも、これだけ破壊的な映画を作っている岡本監督の執念を超えたものに感動してしまいます。
 
問題はですね、少々長くて胃がもたれてくることでしょうね。
 
この映画、まことに痛快極まりないですが、キチンと反戦が描かれている点は特筆すべきでしょう。
 
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メインキャストの大半がもう鬼籍なのですねえ。。