美味いものを食ってケンカする人はいない。

ガブリエル・アクセル『バベットの晩餐会

久々に見返したんですけども、沁みました。

別に泣ける映画だとは思いませんでしたけども、なぜか泣けました。

お話しの舞台は、19世紀後半と思しきデンマークの寒村。

そこで清貧の生活を厳格に行っている姉妹のもとにいるフランス人の召使い、バベット。

なんで、フランス人がこんなプロテスタントの厳格な教派の村にいるのか?というところから、物語は過去に遡っていくわけなんですけども、役者さんがみんなうまいですね。

バベットが購入していたフランスの宝くじが大当たりして、1万フランが手に入ってしまいました。

それをバベットは一夜の晩餐会のためにすべて使ってしまいます。

この映画のメインは、タイトル通りに、そのバベットが作る、モノホンのフランス料理による晩餐会になるのですが、プロテスタントである村の人々は、美味いものに現を抜かして、大騒ぎするという習慣がなく、ヘタすると、とんでもないモンを食わされるのでは?という恐怖心すら持っているのです。

このお話しの根底には、プロテスタントと禁欲主義とカトリック(とまで言い切っていいのかどうかはわかりませんが)の快楽主義の相克があって、それは、最後に見事に融合していくことになるわけです。

恐ろしく地味な題材の映画ではあるんですけども、とても心の贅沢になりました。

豊かであるということは一体なんなのか?文化的対立(あるいは、都会と田舎)というものを乗り越えていく術はあるのだろうか?という、とても今日的な問題に、誠実に向き合った小傑作でありました。

「ごちそう映画」(私が勝手に作ったジャンルです)のひとつとしても特筆すべきものです。

また、しばらくしたら見たい映画ですね。

追伸
食材のウミガメにショックを受けて、悪夢を見るシーンのベタさは必見です。

f:id:mclean_chance:20150802163852j:image