これはまたすごい映画ですねえ。
PVの監督の頃から抜きん出た才能の人でしたが、『マルコヴィッチの穴』と比べても、内容的に更に素晴らしいです。
作家として明らかに成長しましたね。
OSのサマンサと恋をしてしまう、セオドアさんのお話ですが、これはホントにF先生の言うところのSF、すなわち、「少しフシギ」なお話しです。
この手のラブコメはホントにアメリカは得意ですが(『スプラッシュ』や『マネキン』などなど)、OSであるところに今日性がありますが、この設定に安易に乗っからずに(これを日本で作った時のダメダメ感を想像してみましょう)、スパイク・ジョウンズならではの一筋縄ではいかないストーリー展開に、脱帽ですね。
この事が、セオドアをいろいろと苦しみ悩ませるわけですが、これを見てると、人間というのが、何千年経っても容易に乗り越えられない壁が明らかに存在している事がわかりますね。
一見、ラブコメですが、であるがゆえに、『寄生獣』よりもずっと身近なところに、コンピューターと人間の、いずれは避けて通れない問題がここにあるんじゃないですか?という事が非常に面白い語り口で示されていて、ホントに面白かったです。
映像作家から映画監督に転身した人は結構いますが、テクニックに溺れてしまう人がとても多いなか、スパイク・ジョウンズは、ちゃんと脚本を大切にしている点が、とても信頼できますし、それは第1作から一貫していますね。
まだまだアメリカ映画、頑張ってるじゃないですか!