これまたルメットの傑作

シドニー・ルメット狼たちの午後

ルメットお得意の実録モノ。

邦題に偽りがあるが(原題はDogs Day Afternoon)、ルメット=パチーノのコンビにはハズレなし。

ズッコケ3人銀行強盗の手際の悪さ。

「オレ、銃なんて撃てねえよ」と、早速1人脱落。

相棒のジョン・カサールも、オドオドしていて、役に立ってるんだかよくわからん。

しかも、襲撃した銀行の金庫にも1000ドルしか入ってない(笑)。

こんな調子で、あっという間にニューヨーク市警に包囲され、マスコミも殺到。

警察の交渉の失敗と、この事件が起こる前に起こった、アッティカ刑務所での警察の大不祥事をパチーノが連呼し始め、市民はヤンヤヤンヤと喝采。

マスコミは強盗未遂犯の家族について粗探しを始めて、面白おかしく放送。

ドンドン話がおかしくなってくる。 

ハリウッドのクライムムーヴィーとは違って、ほとんど銃撃はなく、銀行の支店という、極端に限定された空間の中で繰り広げられる、リアルな心理劇。

極限状況は笑えるんだ。という真理を見事に突いてますね。

ある瞬間から、モノホンの犯罪者/煽動家にスイッチしていくアル・パチーノがホントに見事。

サントラは一切なし。

最後のクールネスが最高。ルメットの演出が光りますね。シビれました。

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