価値観の転換期を繊細に描く

ジェイムス・アイヴォリー『眺めのいい部屋』 ジョージに興味を持ち始めるルーシー。 付き添い人のシャーロットはイギリスを代表する女優、マギー・スミス。 イギリスの文豪、フォースターの原作の映画化。 すでにかなりのキャリアを積んでいたアイヴォリー…

巻き込まれ型サスペンスの古典

アルフレド・ヒチコク『知りすぎた男』 家族でモロッコ観光をするつもりが。 『ハリーの災難』という怪作を生み出した翌年、1956年の作品。 それにしても、ものすごいペースでこの頃のヒチコクは映画撮ってますねえ。だいたい年に2本くらいのペースで映画を…

大映の谷崎原作ものは面白いです!

市川崑『鍵』 市川作品のオープニングのデザインのカッコよさには、いつもしびれますねえ。 谷崎潤一郎の小説の映画化。 原作は1956年に連載されていた作品ですから、公開当時は谷崎の最新作を映画化しているんですね。 『卍』、『刺青』、『痴人の愛』はす…

『スターウォーズ』より、『バーフバリ』でしょ!

S. S. ラージャマウリ『バーフバリ 王の凱旋』 カッタッパがなぜ、アマンドラ・バーフバリを殺さなくてはならなかったのか?が回想として続きます。 ※若干前編の重要なポイントをネタバレさせてしまうので、前編を見てない方がご覧にならないように。 バーフ…

レイ・ミランドの畢生の名演!!同年の『裏窓』と対をなす傑作!!

アルフレッド・ヒチコク『ダイヤルMを回せ』 電話などの小道具の使い方が実にうまい作品です。 ヒチコクのワーナー作品。 レイ・ミランドがほとんどジェームズ・スチュアートに見えるのですが、それは、ヒチコクがそういう記号的な役割を主演にさせていると…

カズオ・イシグロがノーベル文学賞とったと思ったら、監督のアイヴォリーまでアカデミー受賞でした。

ジェイムス・アイヴォリー『日の名残り』 スティーヴンスが仕えるダーリントン卿の邸宅。 ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ(彼を日本と結びつけて考えても仕方がないと思います)原作の小説の映画化です。 「マーチャント・アイヴォリー・プロダク…

御大、ますます軽快にしかも実験的になってきました。

クリント・イーストウッド『15時17分、パリ行き』 ※公開されたばかりの作品ですので、絵は載せません。あしからず。 2015年8月21日、アムステルダムからパリに向かう高速鉄道タリス内で実際に起こったテロ未遂事件についての映画化で、ここのところ、イース…

アイドルを使ってこんな無茶な映画を撮ってしまいました(笑)。

相米慎二『セーラー服と機関銃』 父を交通事故で失い、天涯孤独となった薬師丸ひろ子演じる、星泉。 低予算映画ながら、驚異的なヒットをととなった、薬師丸ひろ子をスターダムに押し上げた傑作。 相米慎二は、結局、大林宣彦は、結局、アイドルである薬師丸…

「デトロイト」を知るために必須の作品です⁈

ポール・ヴァーホーヴェン『ROBOCOP』 デザインが今見ても秀逸ですが、なんと、宇宙刑事ギャバンを参考にしているそうです! オランダ人監督、ポール・ヴァーホーヴェンの名前が世界的に有名となった、イルな名作。 この映画の公開は、1987年で私は中学生で…

奇想天外な恋愛映画でありました。

パク・チャヌク(朴贊郁)『渇き』 奇跡の人となってしまったサンヒョン。 奇跡を起こしてくれ!と駆け寄る人々。 次回作が全く読めない人ですけども、今回の主人公は神父です。しかも、生存率が低く、治療法のないウイルス性の病気から生還し(50人志願した…

『監獄のお姫様』の元ネタと思われる、エクセントリックな復讐劇!

パク・チャヌク(朴贊郁)『親切なクムジャさん』 『チャングムの誓い』とは全く違う役を見事に演じる、イ・ヨンエ。 「復習3部作」の第3作目。 日本では、『チャングムの誓い』でおなじみのイ・ヨンエが、ガラッとイメージを変えております。 何しろ、冒頭…

バーフバリ !バーフバリ !!

S. S. ラージャマウリ『バーフバリ 伝説誕生』 運命の子、バーフバリ 。 もう最高でした、バーフバリ !! インド映画史上、最高の予算をつぎ込み、最高の興行収入をあげたという本作は、アクション、ミュージカルなどなど、とにかく面白いモンはなんでも放…

オルドリッチの精神は未だに生きております!

クレイグ・ブリュワー『ハッスル&フロウ』 タランティーノ作品っぽいタイトルロゴがイカしてます。 最初の10分の主人公のDジェイのピンプ&ハスラー生活(よい子はググっちゃダメだよ!大人は自己責任でググってね!)の荒みきった様子は、お子さんがいらっし…

角川アイドル映画と思ったら、とんでもないしっぺ返しを食らいますぞ!

大林宣彦『時をかける少女』 この映画を彼女の引退作品とするつもりが大当たりしてしまいました。 筒井康隆原作の小説の映画化(結局、筒井作品で未だにコレが一番有名なのでしょうか?) 原田知世初主演にして角川映画。という所に苦手意識が猛烈に上がりま…

大林マジックが炸裂する、見事な青春映画

大林宣彦『さびしんぼう』 まさに大林作品にとってのジャン=ピエール・レオーである、尾美としのり。 なんと、1人4役の富田靖子。 尾道を舞台とした、いわゆる「尾道三部作」の第3作目。 主人公尾美としのりは、明らかに大林宣彦自身の分身でありますが…

いやー、コレは盲点突かれました。

チャン・ゴンジェ『ひと夏のファンタジア』 キタノ映画っぽいといか、Production I.G.というか。 監督は韓国人ですが、日本から一部資金が出ていて舞台も奈良県五條市のためか、日本映画として分類されているようです。 映画は2部構成になっていて、キム・…

サイコホラーというやり尽くされた感があるジャンルをそう感じさせない黒沢演出が素晴らしい!

黒沢清『クリーピー』 大学教授に転職し、新居に移ってきた夫婦は一見幸せそうだか。 現在、世界で最も評価されてある日本の監督の1人である、黒沢清の近作なのですが、私は今まで全く見たことがなかったんです。 1980年代から評価されていたようなんですけ…

グレイトフル・デッドの全貌が明らかとなるドキュメンタリー。

アミール・バー=レフ『グレイトフル・デッドの長く奇妙な旅』 デッドと言えばこのマークですね。 マーティン・スコシージが製作総指揮で作られた、グレイトフル・デッドの長大なドキュメンタリー。 日本では、アマゾンプライムが独占しているため、コレに加…

キレイなキレイな映画でした(淀川長治先生の体で)。

トッド・ヘインズ『CAROL』 ブランシェットが実にうまいですねえ。 パトリシア・ハイスミスの原作の映画化です。 日本だと、ヒッチコック『見知らぬ乗客』やルネ・クレマン『太陽がいっぱい』の原作者程度にしか知られてませんが、アメリカ本国ではとても評…

岩下志麻、マジでコワイっす!

野村芳太郎『鬼畜』 英題『The Devil』。ヒィィ。。 松本清張原作映画と言えば、野村芳太郎ですが、コレはとにかく岩下志麻のコワさが際立つというか、その一点で突き抜けている作品ですね。 記憶が曖昧なんですけども、この映画がテレビ放映されたのを何と…

ハリウッドの王道の継承でした。

ジェイムズ・マンゴールド『LOGAN』 こんなに老けてしまったウルヴァリン。 マーヴェルの一連の作品はほとんどチンプンカンプンですが、なぜかX-MENは好きでして、そのウルヴァリン演じるヒュー・ジャックマンがコレをもって役を引退するという本作はやはり…

女の子というものをこれだけ自由奔放に撮りきった映画はないでしょう。

ヴェラ・ヒティロヴァ『ひなぎく』 名前すらはっきりしない2人の女の子が主人公です。 2人の女の子が主演なんですけども、とりたててストーリーはありません。 自由奔放な子猫ちゃんのように画面上で気ままに振る舞う様を写しているだけなんですが、画面が…

今ほどアフリカ音楽が必要な時代はないかもしれない。

アラン・ゴミス『私は幸福』 ※公開したばかりですので、絵はございません! 幸福。は、フランス語でフェリシテと言いますが、主人公の名前がフェリシテと言いまして、ダブルミーニングになってるんですね。 日本語でいうと「幸子のシアワセ」的なタイトルで…

前半はルノワール、後半はベッケル

ジャック・ベッケル『肉体の冠』 ジャンヌ・モローの先駆的な存在ですね。神取忍に似ている気がします。 妙なタイトルですが、原題は「黄金の兜」でして、主演のシモーヌ・シニョレの髪型をタイトルにしてるんですね。 ファム・ファタールをめぐってのお話し…

ロージー=ピンターの最高傑作!

ジョセフ・ロージー『恋』 ジョセフ・ロージーの邦題はいつも素っ気ないんですが(原題も素っ気ないんですが。。)、そのチャンピオンがコレでしょうね。 赤狩りによってアメリカで映画が撮れなくなってしまったロージーですが、イギリスは彼の性に合ってい…

中国都市部の激変/農村部の無変化がよくわかる作品。

賈樟柯(ジャ・ジャンクー)『罪の手ざわり』 コレだけ見ると、ジョン・ウーみたいですが、そういう映画ではありません。しかし、コレが冒頭です(笑)。 原題に英語のタイトルがついてまして、コレが「A Touch of Sin」と言うのですが、多分、オーソン・ウ…

モーレツな生命力溢れる傑作。

エミール・クストリツァ『黒猫・白猫』 こういう、ひどいのにユーモラス。という表現がホントにうまい監督です。 相変わらず、冒頭から猥雑で騒がしい作風は一貫していて、画面を覆い尽くしている生命力がものすごいですね。 何度も唐突に挿入される、車を食…

もはやSF映画の古典!

リドリー・スコット『ブレードランナー ファイナルカット』 ドゴォォォォ〜ン!! 1982年に公開され、未だに世界中のクリエイターに多大な影響を与え続けているSF映画の金字塔。 2019年の11月のロサンジェレスのお話しですから、もう間もなく時代が追いつい…

2049よりも2297かも?

ジョン・ブアマン『未来惑星ザルドス』 このメタルなタイトルロゴがジワジワきます。 ショーン・コネリーはジェイムス・ボンド役をやめてからややしばらく低迷期がありましたが、恐らく、本作がコネリーの底値であったでしょう。 そして、ここからが反転攻勢…

努力賞はあげてもよいでしょう。

ドゥニ・ヴィヌーヴ『ブレードランナー2049』 ※公開したばかりですので画像は一切ございません!あしからず! まさかの『ブレードランナー』の続編。 タイトル通りの30年後のロサンジェレスを描いておりまして、前作のラストのデッカードとレイチェルの失踪…