アメリカ映画

犯行計画の緻密性は規模に反比例する。

マーティン・スコシージ『グッドフェローズ』 2023年に3時間半を超える大作を発表するなど、未だに創作意欲の衰える事のないスコシージですが、その新作にも通じる、司法取引を行なった人物から見た犯罪組織の全容を描いた作品です。 どちらもデニーロが巨大…

とにかく新しい感覚の映画ですね!必見!

S. クレイグ・ザラー『Brawl in Cell Block 99』 いやはやすごい。すばらしい。そして、ひどいバイオレンス(笑) 彼の作った長編3作はいずれも通奏低音のように緊迫感を漂わせつつ、それは決して高揚していく事がありません。 いずれもかなりのバイオレンス…

セルジオ・レオーネのあの傑作の元ネタです!

ジョン・フォード『リバティ・バランスを射った男』 ジェイムズ・スチュアートがジョン・ウェインを殴るという、なかなかにショッキングなシーンです。 ジョン・ウェインが最後にフォード作品に出演した映画として有名ですが、フォードはまたしても西部劇の…

フォードが作ったATG映画!

ジョン・フォード『肉弾鬼中隊』 原題の方がいいと思いますが… フォードが初めて作った戦争映画が、ATG級の低予算映画であった。という事実は、今やほとんど知られていないのではないでしょうか。 上映時間も70分に満たない作品であり、登場人物もほぼ分隊の…

早すぎたニューシネマ!

ジョン・フォード『捜索者』 ジョン・ウェインが演じた役の中でも最も異様なキャラクターであろう、イーサン。 ジョン・フォードの傑作西部劇にして、恐ろしく歪んだ異形の作品。 ジョン・ウェインが演じるイーサンという男の、アメリカ文学の古典、メルヴィ…

スピルバーグの父はフォードであった!

ジョン・フォード『周遊する蒸気船』 前半のオフビート感(ジム・ジャームッシュの出現の遥か前です!)、からの後半のチキチキマシン猛レースへの見事な転換。 しかも、メインテーマは冤罪で逮捕された甥の救出。という、コレだけでは何の事だがわからない…

サイレント期に馬を主人公にした映画が作られていたのです!

ジョン・フォード『香も高きケンタッキー』 なんと、馬が主人公のお話しなのです! サイレント期のジョン・フォードを見ている人って、もうあんまりいないと思いますし、そもそも、ジョン・フォードの映画見ている人がいないような気がするのですが、コレは…

1950年代の狂気を描いた痛快作!

ジョン・カーペンター『クリスティーン』 「不死身の自動車」が襲いかかる。というアイディアがとにかく素晴らしいですね! カーペンターという人はとにかくうまいとしかい言いようのない、真のアルチザンですね。 1970-80年代にハイペースに作られた諸作は…

現在の日本の問題がすべて網羅されているのが、フォードの最終作であるという事実に驚嘆せざるを得ない。

ジョン・フォード『荒野の女たち』 アメリカ映画とは、ジョン・フォードの事なのである。コレほど多くのジャンルを作り上げた映画監督は皆無であろう。 巨人ジョン・フォードが最後に作った映画。 驚きました。 なぜならば、とんでもない傑作であり、かつ、…

おじさん達の涙腺を刺激しまくるまさかの痛快作!

ジョセフ・コシンスキー『トップガン マーヴェリック』 まさかの続編がとうとう公開です! この作品の続編を望んでいた人はほとんどいなかったと思いますし、やる必然性もほとんど感じなかったです。 正直なところ言いまして、トム・クルーズが続編を作りた…

2022年、なんでスパークスが急に注目を浴びているのか?

レオス・カラックス『アネット』、 エドガー・ライト『スパークス・ブラザーズ』 現在のスパークスのお二人。左が兄のロン、右が弟のラッセルのメイルズ兄弟です。この2人を不動のメンバーとするのがスパークスです。 スパークスというロックバンド、という…

ベン・アフレックのあのラストシーンを表情!必見です!!

ガス・ヴァン・サント『グッド・ウィル・ハンティング』 主人公のウィル(Will)があのような環境で良い意志(Good Will)を得る(Hunt)のは難しい。というダブルミーニングのタイトルです。 ガス・ヴァン・サント監督は、どうも題材が苦手で見ていませんでした…

なぜ、トランプ政権は出現したのか?を描く傑作伝記映画!

アダム・マケイ『Vice』 下院の実習生でしかなかったディック・チェイニーは如何にして最高権力を手に入れたのか? コレはですね、『Don’t Look Up』と合わせて見る必要があると思います。 このViceとは何なのか?と言いますと、vice-presidentの略でして、…

人類は危機に於いて団結できるのか?

アダム・マケイ『Don’t Look Up』 もし地球に巨大な隕石が100%の確立で衝突し、地球上の生物を残滅させる事がわかったとしたら? と、なんだかどこかで見たことがあるような設定ですが(笑)、マケイ監督は、「絶対に人類は団結しない!そんなのはウソ!」と…

レジェンド級の傑作に挑んだスピルバーグに拍手を!

スティーヴン・スピルバーグ『West Side Story』 アーサー・ローレンツ脚本、スティーヴン・ソンドハイム作詞、レナード・バーンスタイン作曲による、1957年に初公演されたミュージカルを、1961年にロバート・ワイズ版、ジェローム・ロビンス振り付けによっ…

衝撃のゴダール的わらしべ長者話でした(笑)

クリント・イーストウッド『クライ・マチョ』 なんでこんな素っ頓狂なタイトルなのか?は見てのお楽しみなのです。 イーストウッド監督作品をすべて見ましたが、コレはイーストウッド作品史上、最も緩い作品です(笑) いやー、驚驚くべき冒頭シーンでした。…

リドリー・スコットによる『蜘蛛巣城』!

リドリー・スコット『ハウス・オブ・グッチ』 見ていてすごく驚いたんですよ。 80歳を過ぎたリドリー・スコット監督が全く枯れていないんですよ。 2022年1月で84歳。未だに創作意欲が衰えない、リドリー・スコット監督。 このところ、映画の制作ペースがイ…

アリーサの光と影を描いた秀作!

リースル・トミー『リスペクト』 アリーサ・フランクリンは、ソウル史上最高の女性ヴォーカリストです。 まず、この点を押さえておきたいのです。 飛行機恐怖症であった事もあり、アリーサは2018年8月16日に亡くなるまで(なんと、エルヴィス・プレスリーと…

前作と合わせて一作の頓知バイオレンスホラー!

ロド・サヤゲス『Don’t Breathe 2』 高畑勲の伝説的名作、『アルプスの少女ハイジ』(以下、『ハイジ』)のとりわけ第一部とも言える「アルムおんじ編」は、メインキャラクターが、主人公のハイジ、そして祖父のアルムおんじ、羊飼いのペーターしかいない、…

2021年のベスト3に確実に入る痛快作!

ジェームズ・ガン『The Suicide Squad』 前回のは無かったことにしてね!という痛快作! 最高でした! 100億円かけたトロマ映画ですね(笑)。 舌禍事件でディズニーをクビになってしまったジェームズ・ガンを救ったのは、なんと、DCコミックを映画化してい…

本年のベストと言える傑作!なのだがががが!

スパイク・リー『デイヴィッド・バーンのアメリカン・ユートピア』 本作は2018年に発表された、デイヴィッド・バーンのアルバム、『American Utopia』のいくつかのライブの様子を撮影した作品です。 ただし、ライブの模様を撮りました。的なラフなものでは決…

なぜ2倍になってしまったのか?を考えてみました。

マイケル・マン『ヒート』 アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロのダブル主演で、ヴァル・キルマーやジョン・ヴォイドという豪華なキャスティングで各シーンも大変にみなぎる映像ですし、主演二人の余裕綽々の見事な演技も見られるにも関わらず、総体として…

皮肉の効いたラストがヒステリックになっていた米国人を怒らせるキッカケとなったのは、今もって残念。

チャールズ・チャップリン『殺人狂時代』 製作、監督、脚本、主演、音楽をこなす、チャップリンの戦後初の映画にして、赤狩りの直接のきっかけともなってしまった作品(ちなみにチャップリンは1930年代からFBIに危険人物として、すでにマークされています)…

非常に正攻法の男の子必見のドラマです!

ジェイムズ・マンゴールド『フォードvsフェラーリ』 1966年のル・マン24時間耐久レースをめぐる、まさに男のドラマです。 史実があまりにも劇的であり、カーレース史に残る出来事なので、ある意味、盛大なるネタバレ案件です。 坂本龍馬が明治直前に暗殺され…

そっちから見せるの?なるほどね!という傑作ネオ透明人間

リー・ワネル『透明人間』 一体何回目のリメイクなのかわかりませんが、「なぜ今更?」としか思えなかったのですが、いやいやどうして、コレはめちゃくちゃ面白かったですよ! 『ドント・ブリーズ』以来の傑作ホラーサスペンスです! 「透明人間」って映画的…

まさかの完結編が(笑)!キアヌ、ありがとう!

ディーン・パリソット『ビルとテッドの時空旅行』 驚きました。 前作『ビルとテッドの地獄旅行』が1991年です。 29年ぶりの続編ですよ(笑)! しかも、主演のキアヌは今や大スターであり、もはやアホアホ映画に出るような人ではありません。 にも関わらず、…

「ジャスティス」のカケラもない、テンポと間合いで見せるバイオレンス痛快作!

S・クレイグ・ザラー『Drugged Across Concrete』 いやー、面白かった! ストーリーのメインは身もふたもない、金塊の取り合いです。 しかも、人気など全くない場所で、停職中の刑事2人とその金塊を銀行から強奪したグループとです。 ここに至るまでをなん…

アホっぽいタイトルに油断することなかれ!

スティーヴン・ヘレク『ビルとテッドの大冒険』 2020年にまさかの続編が公開される、まだ無名時代のキアヌ・リーヴス主演の作品。 ロックスターになりたいのにギターがロクに弾けないビルとテッド(笑)。 タイムトラベルものなのですが、『バック・トゥ・ザ…

タランティーノが多大な影響を受けた大傑作!

セルジオ・レオーネ『Once upon A Time in The West』 そんな映画あったっけ?in Americaの間違いでは?といわれそうですが、たしかにこの映画は存在しており、in The Westなんです。 タイトル通りの西部劇なのですが、マカロニ・ウェスタンの監督が、このジ…

レノンとモローによる『シン・突然炎のごとく』

グレタ・ガーヴィク『Little Women』 この原題でないと、ラストの意味が失われるので敢えてこうしました。 幾度となく映像化されてきた、ルイーザ・メイ・オルコット『若草物語』の映画化。 何の予備知識もなく見始めた最初の印象は、正直、 「なんだかいそ…